電子機器とその製造プロセスが進化するにつれ、エレクトロニクス設計とメカニカル設計の、本質的に異なる2つの世界は協調して行かなければなりません。今日の市場で競争力を維持するには、設計プロセスを統一し、設計データがエレキとメカ間の垣根をスムースに流れるような設計システムの使用が欠かせません。
ここ10年間に、電子機器の開発・製造方法に関して、ますます急速でしかも継続的な変化が起こっていることにお気付きだと思います。設計エンジニアは今日のグローバルな市場において、より小型でインテリジェントな製品をより短時間で作り出さなければならないというプレッシャのために、設計プロセス全体、製品の概念から製造までを見直し、改善しようと必死に取り組んでいます。
変革に対する必要性は、エレクトロニクス技術の急速な開発により、ますます高まっています。エレクトロニクス技術は一連の発展段階を経て、今日の電子機器を製造するために使っていた基本的なプロセスを変えてしまいました。製品開発チームにのしかかる課題は、生産の期日を守りながら、ますます相互依存している2つのプロセスをうまく管理して作業を進めることにあります。
費用対効果の高いマイクロプロセッサの導入により もたらされたエレクトロニクス技術の革命に続いて、製品の機能とハードウェアをソフトウェアの領域に持って行こうとする動きがあります。ソフト設計パラダイムの出現は、設計手法間の境界線をなくし、少ないデバイスと適切なツールを使い、短い時間枠内でしかもインテリジェントな製品を製造するという道を切り拓きました。その結果、今日の製品はどんどん小型化して機能も豊富になってきています。その一方で、それを開発するチームには新しい設計上の課題を提起しているのです。
設計の要素がソフトの領域に移行するにつれ、設計のどの部分をソフトウェアで実行し、どの部分をハードウェアで実行するかという決定、すなわち「ソフト的」ハードウェアの概念は、エレクトロニクス設計のすべての段階でハイレベルなインタラクションが必要であるという認識をもたらしました。従来の製品開発での設計プロセスでは、個別のアプリケーション間、しかも異なるアプリケーション間で、設計情報が交換されていました。これでは効率的な設計フローに必要な設計のインタラクションと一貫したデータ管理に反します。

これらの要素を単一のプラットフォームレベルに合体し、エレクトロニクス開発プロセス全体を統一して、設計フローのすべての段階で、真の設計インタラクションと共同作業に必要な環境を構築します。ひとつのアプリケーションに必要なプロセスを一体化することは、統合エレクトロニクス開発システムで設計情報をグローバルに管理することにもつながります。また、設計の各段階間での情報の流れをスムースにすることで、柔軟でインタラクティブかつ革新的な設計を実行し、ハードウェアとソフトウェア間で流動的な分割を行えるようになります。
統一されたエレクトロニクス設計開発システムによってもたらされる、高効率でハイレベルの協調性は、設計フローの概念から製造までのすべてのレベルに拡張されることになります。設計情報とデータ制御の集中化を行えば、製品開発プロセスにかかわるすべての人が、ドキュメントの扱い、部品管理および製造の全工程で、連携して共同作業を行うことができます。
大きな目で見ると、設計効率向上のための共同作業の必要性は、エレクトロニクス設計の分野を越えて広がりつつあります。製品開発の進展にますます重要になってきているのは、設計のエレキ的側面とメカ的側面間のインタラクションです。より小型で機能的なパッケージングに対する絶え間ない要求から、物理的な点とその開発に関して、この二つの側面に緊密な連携が求められています。
一般的に基板には、コネクタ、キーパッドおよびディスプレイなどすべての周辺ハードウェアが搭載されますが、製品筐体のアセンブリはこれらの外部ハードウェアをユーザにゆだねています。製品筐体が単に組み立てられたシステムを収納し、個々のハードウェア部品は内部配線で接続されるという時代は終わりました。簡単に言えば、いまやパッケージングは、製品の単なるコンテナから、緊密に統合された部品となっているのです。
かつては製品のパッケージングは内部電子部品の物理的な側面を考慮しなければなりませんでしたが、電子アセンブリ(実際には、ボード設計)ではパッケージ設計の物理的形状や機能性を生かすようにしなければなりません。この設計プロセスの相互依存性の拡大は、電子機器開発の全体的な傾向と歩調をともにしています。ここでは、設計フローの以前は分離していたステージが、今では効率よくインタラクションを取らなければならないのです。設計のキャプチャから製造まで市場での競争力を維持するには、開発のすべてのレベルで共同作業をサポートするツールとプロセスが必要となるのです。
設計のメカ的プロセスとエレキ的プロセス間のギャップを効率よく橋渡しすることが、製品の開発を共同で行って成功させるために重要になってきています。しかし、単に生の寸法と位置データをECADからMCAD環境に手渡すのではなく、必要とされているのは、両方の領域間で包括的な3次元(3D)データを双方向に提供できる設計ツールなのです。ECADの分野では次のことを意味しています。すなわち、MCAD環境から3次元部品データを取り込みシームレスに統合して、基板アセンブリの完全で正確な3次元表現をMCAD領域に戻すことです。

このハイレベルのプロセスは、製品開発サイクルの早い段階で、電子部品を含んだ包括的な基板データをメカニカル設計環境に渡せる機会を提供しますので、ECADとMCADの協調設計が可能となります。さらには、MCAD設計段階で基板アセンブリのプロトタイプの必要性が軽減されることで、設計フローの効率が向上します。包括的に3次元データを交換することにより、ECAD環境で基板の配線を進めているときでさえ、メカ担当の設計者は完全な寸法情報を手にすることができるのです。
MCAD分野とECAD分野が収斂(コンバージェンス)するのに合わせて設計システムを準備する一方で、この新しい機能を組み込むための条件は、電子部品レベルで3次元モデル化をサポートするエレクトロニクス設計システムです。この機能と正確な3次元設計データをエクスポートする手段があれば、メカ環境とエレキ環境間での必要なインタラクションをサポートし、共同作業によるMCAD-ECAD協調設計による生産性向上のメリットが得られます。
電子機器が小型化し、生産期間が短縮し、そして業界が「ソフト」なエレクトロニクス設計ソリューションに向かうにつれ、情報をすべての設計プロセスで効率よく共有する機能がますます重要になってきています。Altium Designerの統一化された製品開発環境は、単一の環境でエレクトロニクス設計(ハードウェア、プログラマブルハードウェアおよびエンベデッドソフトウェア)のすべての段階を完成することができますが、それに加えて基本的なレベルでこの機能を提供しています。
Altium社は、設計者が正確な3次元(3D)モデル化情報を開発し交換することができるように、製品設計のメカ的側面とスムースにインターフェイスする先進3次元システムにこの機能を拡張しています。この最新の開発に合わせて、Altium Designerは、3次元部品モデルデータのインポート機能を提供しています。これは、実績のあるIGESフォーマットおよび最新リリース6.6では新しい先進STEPフォーマットで行われます。
Altium Designerの3D PCBビューアを包括的な設計データエクスポート機能(これは、IGESやSTEPファイルとして完全な3次元アセンブリをMCAD環境に手渡すことができる)と組み合わせると、このシステムではECADとMCAD分野間の高度な統合が可能となります。次に、MCADの設計者は、エレキ設計プロセスの前に、あるいはそれと平行して(ECAD-MCAD協調設計)、メカ設計を開始することができます。その理由は、信頼性の高い正確な3次元設計データが二つ領域でいつでも交換できるからです。
その結果、MCAD領域とECAD領域間の作業効率と協調性とが実現されます。これは最初の概念から製造までのエレクトロニクス製品開発プロセスすべてで、メカ的設計プロセスを簡素化し、製品の品質を向上させ、生産性を高める可能性を提供します。
設計入力で従来の2次元(2D)空間での作業になれた方にとり、3次元設計空間とそれの生産チェーン全体への関連を採用することのメリットを考えることは重要です。エレキ設計システムで3次元表現されたオブジェクトを表示し、交換し、作業することは、単にすばらしい追加の機能セットではありません。設計分野が収斂し高いレベルで共同作業を行うことはエレクトロニクス機器開発プロセスの本質的で基本的な部分となっており、将来においてますます重要な役割を果すことになるでしょう。