高度な設計抽出機能へ移行する

今日のエレクトロニクス設計の驚くほど効果的なスナップショットを収集するのに、すぐ近くの携帯音楽プレーヤに夢中になっている十代の若者を見れば十分事足ります。携帯音楽プレーヤの搭載品の中で、「本質的」なテクノロジーのエレクトロニクスデバイスが、テクノロジーと消費者の要求の複雑な関係を示す好例です。

もちろん更に高度で、複雑な製品がエンジニアリングチームにより毎日作り出されていますが、エレクトロニクス設計の本流に重大なインパクトを及ぼしているこのようなデバイスの設計に取り入れられている影響力のある要因の組み合わせにしか過ぎません。実のところ、プレーヤの持ち主に質問してみると、今日の設計の状況だけに限らず、エレクトロニクス製品設計の将来についても、いくつかの教訓的な理解が得られます。たとえ回答はそれほど明確でなくても。

設計の潮流

この携帯プレーヤが市販の数百の中からなぜ選ばれることになったか、つまり、事実上、この製品が競争上ユニークでそして魅力的になったかということが、本質的な関心事です。回答は決まって価格、形状や機能というおおまかに分類されたものになります。

価格はどちらかというと所与のもので、常に購買意思決定の重大な要素ですが、その他の要素には製品設計の観点から重大な鍵があります。形状は外観であり、製品の「イメージ」ですが、機能は本質的に製品の動作特性と動作方法です。使用されているフラッシュRAMまたはハードディスクなどの記憶媒体に対するうわべの関心以上に、ユニットの中に何があるかということは問題ではなく、製品の独自性を定義することはほとんどありません。

例にとった音楽プレーヤメーカに観点を向けると、競争力を定義するのは明らかに製品に盛込まれた独自の形状と機能特性なのです。更にいえば、これらの独自の特性による市場での差別化の維持は、製品の継続的な成功には必須であり、事実上製品の決定的な知的財産(IP)なのです。

このことの重要性は、製品の形状、つまりイメージは他のメーカにとって模倣しやすいが、今日の設計の機能性要素は、常により安全なソフトウェア領域にあるということです。簡単に言えば、ケースハードウェアやPCBアッセンブリのような物理的領域にある設計IPは、競争の厳しい市場で製品の独自性を持続することができません。対照的に、設計の「ソフト」要素は、携帯音楽プレーヤの決定的なIPのように、法的に保護することが容易で、リバースエンジニアが困難です。

設計セキュリティの問題以上に、製品の設計IPをハードウェアからソフトウェア領域に移行することにより、より機能的に高度な製品を創造する可能性が開かれます。このソフトウェア中心のアプローチにより、製品の創造に使われるエレクトロニクス製品設計環境と手法が再定義されました。

変化するハードウェアの役割

製品設計が、デバイスのユニークで決定的な要素が保持されているソフト領域に益々、移行するにつれて、設計のエレクトロニクスハードウェアは種々の物理的インタフェースを通して外部世界と接続され1つ以上のプログラマブルデバイスとして定義されつつあります。

音楽プレーヤの例では、フィジカルハードウェアプラットフォームが非常に身近な機能的なブロックで構成されています。ディスプレイスクリーン、ユーザインタフェースコントロール、ストレージメディア、スクラッチメモリ、データポートなどです。これらは、ほとんどが基本インタフェースハードウェアによってサポートされますが、プレーヤの真の機能的で決定的な要素はある種のホストプロセッサデバイス上で動作するソフトウェアからのものです。

重要なのは、フィジカルハードウェアプラットフォーム上の多くの要素で使用される回路と設計は、製品全体に共通していて、ほとんど社会の共有財産となっていることです。例えば、音楽プレーヤのUSBデータインタフェースは、主要半導体メーカの低価格、既成の品目を基にしています。メーカは、デバイスの使用を促進するために、プロジェクト構成に簡単に導入可能な、検証済みで即生産可能な回路設計も提供しています。ほとんどの作業が半導体メーカエンジニアによって終了していますので、このアプローチには明確な時間と経済的なメリットがあります。機能性USBポートはどれもほとんど同じですから、それを改善しようとすることは、最終製品の価値にほとんど影響しません。

ある設計の主要ハードウェア要素がメーカの供給する既存IPのものであっても、一から設計されたものであっても、製品独自の側面と、それによる競争上の利点を決定することはないのです。その結果、新しい設計プロジェクトのためにこれらのブロックを再設計することは、製品に本当の価値を生むことはなく、設計エンジニアから新しい設計の創造的、革新的側面に集中する時間を奪うことになります。

エレクトロニクス製品設計は進化して、事実上、プログラマブルとインタフェース回路の大きなブロックが一つに接続されてハードウェアプラットフォームとなり、機能は搭載されたソフトウェア要素により決定されます。その独自性や市場差別化を実現しているのは、フィジカルプラットフォームのプロパティなどではなく、製品に組込まれた「ソフト」インテリジェンスなのです。

新しいアプローチ

この変化している設計環境は、「circuitry-up」の観点から、別々のツールがハードウェアとソフトウェア要素を作っている従来の基板中心アプローチにルーツを持つ既存の設計手法に挑戦しています。ソフト設計とそのメリットに力点が置かれるようになっていますので、共通の機能ブロック開発にかける時間は最終製品にほとんど価値を生みません。

必要なのは、設計エンジニアがより高次元の機能的なブロックに取組めるように、設計プロセスの抽出機能を高める手法なのです。全分野(ハードウェアとソフトウェア)のエンジニアが、設計プロセスのすべての段階で、事前検証済みのブロックを簡単に接続することのできる設計手法の可能性があります。これらは過去の設計、または、定義済みの機能的要素のライブラリから可能です。どちらの場合もそのタスクには保存された回路の一部、または、コードの再利用以上のものが必要です。

そのようなモジュラー式、高次元設計アプローチへの重要なポイントは、それをサポートする設計ツールインフラストラクチャであり、インタコネクションシステムとプロセスをシームレスにする、設計データ管理機能を実現することが求められます。ハードウェアとソフトウェア設計間の境界線があいまいになるので、設計プロセスの抽出レベルの高度化を、設計プロセスのすべての段階で、広がり、一体化しなければなりません。例えば、設計にUSBブロックを配置することは、回路図、基板、プログラマブルデバイスやソフトウェアレベルで影響を与えるので、抽出されたブロックは本質的にすべてのこれらの要素を表示し、ユニバーサルバスシステムと透過的に相互接続する必要があります。

設計抽出のこの次元で全分野のエンジニアは、モジュールでブロックを接続する手法により迅速に設計することが可能になり、製品開発プロセスをスピードアップし、設計エンジニアが革新的IPにより最終製品に価値を追加することができました。さらに、一体化レベルの抽出機能を高めることにより、ハードウェア、ソフトウェア、プログラマブルハードウェアといったすべての設計要素を組合わせるという従来の複雑なプロセスが大幅に簡略化されました。現在の設計は、それぞれの設計手法で異なった、特殊レベルで抽出されるのではなく、全体として抽出されます。そのことは従来の相互接続されていない設計ツールを使用している場合に非常に明白でした。

このレベルで作業することは、異なった機能のインプリメンテーションに対応する機能性ブロック内に、階層的部分を作成できるようになり、設計から生産への移行をスムーズにします。

USB機能ブロックについて再度考察すると、例えば、分割されたサブブロックとしてコネクタやその配線を含むことでその価値は向上します。このアプローチであれば、音楽プレーヤやUSBブロックが別の製品で使用される場合、異なったアプリケーションに対応するために代替コネクタを容易にアクティベート、または、「搭載」することが可能になります。機能ブロック全体の設計は、定義済みですが、内蔵式、携帯、コンフィギュアラブルであり、アプリケーションの必要に応じてその他のブロックに簡単に配線することができます。

高次元設計の活用

次のレベルへのエレクトロニクス製品開発プロセスの移行は、今日の製品でハードウェアとソフトウェアの役割の変化をサポートする手法とシステムを創造することを意味します。設計のフィジカルハードウェアが今後ますます商品化・市販され、一方ソフト要素が製品の独自の知的財産所有者の地位を占めるようになるので、設計エンジニアは設計方法を変える必要があります。

製品の市場価値を増やさないハードウェアを作る貴重な製品設計時間の無駄は、高次元の設計抽出機能とシームレスな設計の再利用をインプリメントして最小限にしなければなりません。このアプローチをサポートする設計ツールによって、透明なバス相互接続、ファイル管理システムとプロセスを簡単な「ブロックを接続する」だけの操作にするネイティブな設計階層管理を実現しなければなりません。

システムを真に効果的にするには、高次元の設計抽出機能を、全分野のエンジニアが定義済みの機能性設計ブロックを容易に組立てることのできる一貫性のあるインタフェースにより、設計プロセス全体に浸透させなければなりません。高次元の設計抽出機能がネイティブな方法で真の一体化設計システムによりサポートされていれば、すべての設計エンジニアは、エネルギーと才能を市場で明確で安全な製品差別化を得る革新的なエレクトロニクス製品の創造に集中して、最も効率的に作業することができます。