インタラクティブな配線長チューニング

クリティカルな信号が同時に伝送するためには配線長が等長でなければなりません。インタラクティブな配線長チューニング機能が配線設計を簡単で分かりやすくします。

高速配線設計における2つの重要な点は、配線のインピーダンス制御とクリティカル配線の等長化です。インピーダンスが制御された配線では、出力ピンから送信される信号がターゲットの入力ピンで正しく受信されます。配線長を等長にすることにより、タイミングクリティカルな信号がターゲットピンに同時に伝送されます。

インピーダンス制御された配線機能 /files/AltiumDesigner6/LearningGuides/AP0107%20Impedance-Controlled%20Routing.pdf の記事を参照]を補完するインタラクティブ配線長チューニング機能がAltium Designer 6.7で導入されました。

インタラクティブな配線長チューニングは、配線長を制御し、最適化する手法です。配線設計において、可変振幅パターンまたは「アコーディオン」セグメントを、利用可能なスペース、ルール、障害を考慮して挿入することによって実行します。

配線長の調整

Altium Designerの配線長チューニング機能の特長は、高度な制御アルゴリズムを直感的なユーザコントロールで実現していることです。チューニング対象のセグメントは、カーソルを配線経路に沿って動かせば追加されます。チューニングセグメントのトラックとアークの寸法・位置はAltium Designerにより自動的に挿入されます。チューニングセグメントを追加するには、スタイルとプロパティをキーボードショートカットによりコントロールすることができます。

Toolsメニューで起動すると、Interactive Length Tuning(インタラクティブな配線長制御)のコマンドによりネットの選択が要求されます。ネット(具体的には、フリーラインまたはトラック)をクリックして、カーソルを配線のパスに沿ってスライドします。コースをはずれた場合は、カーソルを配線上に戻すとAltium Designerがそこまでのチューニングセグメントを追加します。


カーソルが配線パスに沿って動くとチューニングセグメントは自動的に追加されます。

チューニングスタイルと寸法の制御

Length Tuningツールの習得には2つの重要な要素があります。ショートカットを知ること、配線長インジケータディスプレイを理解することです。先ず、ショートカットから説明します。

コマンドを起動し、ネットをクリックして配線経路に沿ってカーソルをスライドするとき、これらのショートカットを試してください。

ショートカット

機能

スペースバー

3つのチューニングパターンを切り替えます:曲線マイター、円弧マイターと直線マイターです。

, (カンマ)

チューニング振幅を小さくする

. (終止符)

チューニング振幅を大きくする

3

チューニングピッチを小さくする

4

チューニングピッチを大きくする

1

曲線マイターを小さくする

2

曲線マイターを大きくする

Y

開始方向を切替える

Tab

Interactive Length Tuningのダイアログを開く

Shift+F1のショートカットを一つ覚えることでも作業が容易になります。

これはショートカットの一覧です。Altium Designerのインタラクティブコマンドを使っているとき、Shift+F1を使って、そのコマンドのショートカットを見ることができます。コンポーネントの配置、インタラクティブ配線、あるいはトラックドラッグをしている際に、Shift+F1を押して当該コマンドのショートカットのリストを見ることができます。

3つのチューニングパターンがあります。Shift+F1を押してチューニングパターンをコントロールするショートカットのリストをご覧ください。

指定配線長の制御

Length Tuningには配線長制御を指定する3つの方法があります。次のように指定します。
1 マニュアルで定義する
2 すでに配線されたネットを基にする
3 設計ルールにより定義する

これらの手法から選択するには、Length Tuningの際Tabを押し、Interactive Tuning Lengthダイアログを開きます。ダイアログの最下部には、チューニングパターンの形や寸法を定義するオプションが表示されます。3つの指定配線長モードの選択オプションはダイアログの最上部にあります。

マニュアルモードでは、長さをTarget Lengthフィールドに入力します、右側のリストには、入力した値が履歴として記録され、再使用することができます。

From Netを選択して、右側のリストからネットを選択することができます。このネットの長さがターゲットになります。更に制限的設計ルールが定義されれば、こちらが優先されます。次に、ルールを詳細に紹介します。

このモードを使用するために定義されたLengthとMatched Length(配線の等長化)設計ルールのどちらか、または、両方が必要です。Altium Designerは、これらのルール組合せの最も厳格なルールに準拠します。

モードを選択した後、ダイアログの説明領域をチェックします。解説はLength Tuningツールが現在どのように構成されているかを理解するのに役立ちます。

ルールにより定義された指定配線長。最も厳格なルールの組合せが使用されますので、範囲は52.106~56となり、指定配線長はこれらの値の中間に設定されます。

設計ルールを構成する

等長化配線設計ルールから説明します。

等長化配線設計ルールを満たすためにターゲットネットは、指定許容誤差内で同じ長さに配線しなければなりません。Altium Designerの旧バージョンには、等長化配線設計ルール用にその他のコンストレインツ(設計制約)設定が含まれていました。これらはLength Tuningツールで使用されませんのでご注意ください。

ターゲットネットとは、ルール範囲、または、クエリによって決まります。このタイプのルールの代表的なクエリはInNetClass (‘MyEqualLengthNets’)です。これはMyEqualLengthNetsのネットクラスすべてのネットにルールが適用されることを意味します。Design(設計) » Classes(クラス)を選択してネットクラスを設定します。

Length Tuningツールがターゲットネット中で最長のネットを見つけ出し、長さの有効な範囲、ルールに指定されたプラスマイナス許容誤差を示唆します。

配線の等長化ルールを補完する配線長ルールによってネット、または、ネットグループが配線された全体の長さが指定されます。これらのルールのどちらか、または、両方が設計に重要です。それは、問題がスキュー(遅延時間の異なる信号。配線の等長化ルールを考慮)に関連しているのか、または、全信号遅延(長さルールを考慮)に関連しているのかによって決まります。

配線の等長化ルールや長さルールは距離として指定されますが、設計者はタイミングとして考えます。つまり、この信号が別の信号からどれだけの時間の遅延が発生
するかということです。プリント基板上で信号が伝播する時間は、基板材質、レイヤ(表面または内部配線)などの色々な要素に依存します。従来のFR-4では、遅延は4~6ps/mm(ピコ秒)のオーダです。これは、複数の配線についての遅延時間を考慮する必要があるため、複雑な問題です。最新のAltium Designer 6では、これらの遅延を考慮した正確なレイアウトを行なうことができます。

Length Tuningツールでは、これらのルールを検討して、最も厳格なコンストレインツが作り出されます。従って、等長配線ルールで指定された最長の長さが、等長化ルール(プラス許容誤差)がターゲットとする最長の長さより短い場合、長さルールが優先され、チューニングではその長さが使われます。補足情報Net Length Tuningダイアログの説明で確認してください。有効なルールがないのか、または、ルールのどの数を使っているかが分かります。

Net Lengthインジケータの活用

Length Tuningツールでチューニングセグメントを追加すればNet Lengthインジケータに表示されます。Net Lengthインジケータは、現在の配線長が要求仕様と比較してどれほど合致しているかを示す視覚的な判断基準になっています。


インジケータには、ホワイトボックス、2つの黄色いバー、および緑色バーがあります。ホワイトボックス内に色の付いたスライダがあり、現在の配線長を表示します。正確な長さは、スライダの最上部に文字で表示されます。


ホワイトボックスの指定配線長モードが手動の場合、スライダボックスの下限が現在のネットの長さで、上限が現在のネットに現在の配線長とターゲット長の差分の2倍をプラスした長さです。


指定配線長が設計ルールを基にしていれば、スライダボックスの下限と上限は長さルールから取ります。長さルールがなければ、スライダボックスは現在の配線長を基に長さを表示し、これはマニュアルモードでも同じです。


配線長インジケータの緑色バーは、指定配線長をマークし、黄色バーは許容される最短と最長の長さを表示します。最短と最長は設計ルールにより定義された最も厳格なコンストレインツにより決められます。

[前のイメージで構成された設計ルールに基づく配線の等長化インジケータ] 。

配線長インジケータの例
インジケータの最短は40(長さルールから)です。
• インジケータの最長は56(配線の等長化ルールから)です。
• ターゲットの最短は、55.106 - 3 = 52.106 (ターゲットネットグループでの最長の配線長から配線の等長化ルールでの許容誤差をマイナス)です。
• ターゲットの最長は、56です(これは最長の配線長に配線の等長化ルールでの許容誤差をプラスした長さより短いので、長さルールからになります)。
• 指定配線長は、ターゲット最短とターゲット最長の中間です(56 – 52.106) / 2 + 52.106 = 54.053)。

その他の留意点

基板設計はインタラクティブなプロセスであり、一般的に最終配置と配線までには多くのイタレーションがあります。チューニングセグメントを移動しなければならないときの対処方法は以下になります。

チューニングセグメントを削除する最も簡単な方法は、その上に配線し直すことです。すべての既存配線のように、Place(配置)メニューからInteractive Routing(インタラクティブ配線)を選択して、直線配線セグメントをクリックして、チューニングセグメントの上部に配置します。配線が終わって、右クリックしてエスケープすれば、すべてのチューニングセグメントが削除されます。

アコーディオンスタイルのチューニングセグメントを使用した設計は難易度が高いかもしれませんが、より高い設計品質を実現する設計プロセス全体における一つの技術要素です。隣接するアコーディオンセクションが長時間の間近接していれば、クロストークカップリングにより信号に歪が発生します。詳細は、業界の専門家Howard Johnson博士によるSerpentine(アコーディオン)遅延についての記事をお読みください。 http://www.signalintegrity.com/Pubs/edn/serpentine.htm

その他の便利なリンク

Length Tuning機能を使うためのTRAININGcentreビデオ(Length Tuningを検索) /Community/TRAININGcenter/TrainingVideos/

シグナルインテグリティについてのエキスパートEric Bogatin氏のWEBサイト http://www.bethesignal.com/

高速設計のエキスパートHoward Johnson博士のWEBサイト www.signalintegrity.com/

高速PCB設計のエキスパートLee Ritchey氏のWEBサイト
http://www.speedingedge.com/

Quad Design Technology、Fred Saal氏によるシグナルインテグリティシミュレーションの価値についての記事http://www.edn.com/archives/1995/120795/25df3.htm / /files/AltiumDesigner6/LearningGuides/AP0107%20Impedance-Controlled%20Routing.pdf