企業にとって、同じ基板設計を他の製品に使いたいと考えるのは決して不自然なことではありません。他の市場の基準を満たす、異なる仕様の部品を基板に実装することもありえます。また基本モデルに対しては基板を部分的に実装し、デラックスモデルに対しては基板をフル実装することもありえます。
Altium Designerではこれらの要求をサポートするために、アセンブリバリアントと呼ばれる機能を提供しています。
アセンブリバリアントとは、一枚の基板設計に異なる方法で実装することを意味しています。バリエーションには、ある部品を取り付けない、異なる数値の部品を取り付ける、異なる仕様の部品を取り付けるなどが考えられます。取り付けた部品は交換することができますが、配線を変えることはできません。同様に、基板上のデジグネータ(表記)は変更できませんので、部品の種別変更はまったく意味がありません。キャパシタのフットプリント位置に抵抗を取り付けるようなことはありません。
アセンブリバリアントで留意すべき点は、基板設計は一種類しかないということです。すなわち、PCBの組み立てファイルは1セットだけで、アセンブリファイルには複数のセットがあります。それぞれのバリアントに異なるセットを使います。
アセンブリバリアントに対する要求が、全部品を実装したデラックスバージョンと部分的に実装した基本バージョンの二つの場合は、フル実装のデラックスバージョンの設計を完成させればよいことになります。その設計のバリアントを作るには、特定の取り付けない部品を登録しておけばよいことになります。
次のことに注意する必要があります。1定義または複数のアセンブリバリアントを定義できますが、それはユーザ選択項目です。オリジナル設計を複数の最終製品基板の1枚とすることもできますし、それをマスタ参照設計として、そこから複数の製品基板をバリアントとして定義することもできます。
新しいバリアントから部品を削除するには、単にFittedチェックボックスを無効にすればよいのです。ダイアログでマルチセレクトすることもできますが、それには右クリックメニューのコマンドを使って、選択したすべての部品の設定を変更します。選択した特定のバリアントに別の仕様を設定するか、あるいは部品に別の数値を設定するには、その部品を選択してAssembly Variant Managementダイアログの最下部にある部品の詳細情報を変更します。
それが、抵抗値を変えるような簡単な変更作業ではない場合、代わりにライブラリの別の部品から、その部品のパラメータ値をアップデートすることができます。このコマンドでは、ライブラリから部品を選択して、ライブラリ部品のパラメータ値(一部または全部)を変更しようとしている部品をプルします。Assembly Variant Managementダイアログ内で部品を右クリックすると、Update Values from Libraryコマンドにアクセスできます。

Assembly Variant Managementダイアログでアセンブリバリアントを追加してコンフィギュレーションします。この設計には2つのvariantがあります。一つは市販用で、もう一つは教育用です。
ピック& プレースファイル、アセンブリ図面と部品表のようなアセンブリファイルについては、OutputJobからバリアント固有のファイルを作ることができます。OutputJobとは、プロジェクトから生成する必要がある出力の形式を予め決めておくことができるドキュメントのことをいいます。他のドキュメントとまったく同じ方法で、OutputJobがプロジェクトに追加されます。詳細については、新しいOutputJobファイル上でF1を押してください。
OutputJobファイルにはVariantというコラムがあります。プロジェクトに複数のバリアントを定義してあれば、ドロップダウンリストから必要なバリアントを選択することができます。それぞれのバリアントのNameフィールドを編集することができます。こうしておけば追跡するのが容易になります。

それぞれのアセンブリバリアントに対して一つずつ、計二つのBOM(部品表)出力がOutputJobにコンフィギュレーションされました。
Altium Designer 6.6で新しく導入された機能は、回路図とPCBプリントアウト上で、取り付けない部品にフラグを立てるものです。Assembly Variant ManagementダイアログのMenuボタンにはVariant Drawing Styleコマンドが含まれています。このコマンドを選択してVariant Optionsダイアログを開くと、ここで回路図とPCBプリントアウト上で取り付けない部品の表記方法を決めることができます。

特定バリアントのSmartPDFを生成し、取り付けない部品の表現方法を制御します。
バリアント別SmartPDF – SmartPDFジェネレータを使ってバリアント固有のPDFを生成します。
詳細レポートの作成 – 一つまたは複数のバリアントにDetailed Reportを生成するには、Assembly Variant Managementダイアログ内のMenuボタンを使ってコマンドにアクセスします。
回路図にバリアントのラベリング – これは回路図に=VariantNameという特別なストリングを持っていますので、SmartPDF回路図にvariantの名前を含めることができます。
回路図からの直接的な設計作業 – デザインが大きい場合には、Assembly Variant Managementダイアログ内で特定部品を見つけるのが難しいかもしれません。その場合、回路図シートで直接作業を進めることができます。シート上の部品を選択して、Part Actionsコンテキスト メニューのAssembly Variantsを右クリックして選択します。ダイアログは選択した部品だけをロードしますので、そのバリアントの設定をコンフィギュレーションするのは容易です。
全バリアントのコピー・ペースト – しばしば、既存のvariantに非常によく似た新しいvariantを作りたい場合があります。右クリック メニューのCopy VariantとPaste Variantコマンドを使ってこれを行います。また、複数のバリアントを同時に編集することもできます。
埋め込み部品・パラメータに限定した表示 – Variant Managementダイアログでグリッドをセットして、変更部品や変更パラメータだけを表示するようにします。

一部あるいは全体のバリアント詳細レポートを生成します。
Altium Designerのアセンブリバリアント機能の詳細を知りたい方は、アプリケーションノートManaging Design Variation with Variants をご覧ください。