AltiumのProtel、東工大のCubesat プロジェクトに大きく貢献
AltiumのProtelを使用して、学生たちは開発時間を無駄にすることなく、複雑で専門的な回路や基板を作製しました」
Naomi Miyashita
The Laboratory for Space Systems (LSS) - Doctral Course
Tokyo Institute of Technology
東京工業大学の宇宙システム(LSS)研究所は、ハワイで1999年に開催された大学宇宙システムシンポジウムに於いて、スタンフォード大学のトィッグス教授によって最初に提案されたCubeSat標準に基づく設計要求を満たした衛星の開発と打ち上げを行っています。松永教授を中心に、LSSの学生たちは、一辺が10cmの立方体、重さ1kgの立方体の衛星を、既製のパーツを使用して作製しました。そして最初のプロジェクト、CUTE-1が、2003年、ロシアのロケット打ち上げサービス・プロバイダであるEurockotから打ち上げられました。同時に、トロント大学、東京大学、東京工業大学、そしてデンマークの2校(オルボア大学、デンマーク工科大学)が打ち上げを行いましたが、現在でも稼動しているのは東京工業大学ならびに東京大学の衛星のみです
衛星打ち上げの投資・開発・製作すべてが企業によって行われるのが当たり前の日本において、経験のない、LSSの学生が、電子部品の選定、回路作成、試験、組み立てというすべての工程をこなし、実験を行わなければなりません。学生たちが中心となり、バス衛星が稼働するのに必要な太陽エネルギーの充電、電子回路・部品を動かすための電圧調整と供給、衛星の姿勢を検知するジャイロセンサー、データを地上に送信する通信技術など、バス基本技術を今後の人工衛星開発に活用するためにさらに高度化していこう、という野心もありました。
当然、東工大というカラー、機械工学という特長を打ち出し、他校との差別化も図る必要もあり、苦労も多くありました。もちろん、宇宙という厳しい環境も考慮しなければなりませんでした。非常に寒冷な環境なため、機構部品やシステムの温度も安定させる必要があります。またサイズと重量に制限のあるCubeSatは、回路基板を限られた時間でデザインしなければならないため、非常に要求が多く、ツールが統合されているProtel のようなソフトウェアが必要でした。
様々な努力を重ねた結果、個性的なCubeSatが完成しました。自慢のひとつがモーターです。通常真空では可動しないグリスを工夫し、アンテナを宇宙空間で敢えてモーターで開かせることに成功しました。また、カメラからの画像を衛星内で処理して、太陽との相対位置を数値化させ、姿勢センサーとしての役割を持たせました。一番苦労したのは重量を抑えることでした。衛星本体にはマグネシウム合金を使用し、強度を保ちつつ内部を肉抜き計量化を目指しています。回路自体を変更する苦労もありました。回路図とパターン設計では、異なるソフトウェアを使用したため、互換性がありませんでした。Protelのような統合されたアプリケーションソフトが必要だと感じました。今後は、一貫性のあるProtel DXPでデザイン・ルール・チェックを瞬時に行いながら、電源は太めするなどの各種制約の違反箇所を自動でチェックすることが必要だと実感しました。
2003年6月30日のCUTE-1衛星の打ち上げ成功以来、東京工業大学の地上局は、各電源のバッテリーの電圧、温度センサーによる軌道上の温度観測、太陽電池の発電量、ジャイロセンサーによる軌道上で姿勢、加速度、電池の温度に関するデータを受信しています。CUTE-1の打ち上げから一年以上が過ぎ、現在、LSSの学生は、CUTE-1の後継となる、Cute-1.7の開発プロジェクトを進めています。
このプロジェクトは、次に続く小型衛星開発を容易にするようなデザインの提案と実証を目的としています。低価格な既製のPDAや周辺機器を、宇宙という特殊な環境であっても、放射線による誤動作に対処できるようにします。他の機能としては、地磁気でも稼働できる革新的な磁気トルカ、一般に開放される無線デジピータ、各種実験が行える貨物用スペースであるペイロードがあります。
東京工業大学は、大岡山、すずかけ台、そして田町にキャンパスがあり、120余年の輝かしい伝統と歴史を継承しつつ、21世紀の科学技術をリードする"世界の理工系総合大学"へと進化を続けていて、一流大学のうちの1つと世界で認められています。 機械宇宙システムのひとつである宇宙システム研究所(LSS)は、革新的宇宙システムの構築と宇宙工学リーダーの育成を目標に置き、日本の貢献が最も期待される宇宙ロボットや小型衛星などの高機能宇宙機械システムを中心課題として研究開発を進めています。
東京工業大学ならびに東京工業大学院、理工学研究科、機会宇宙システム専攻、松永研究室についての詳細は、 www.titech.ac.jpならびに www.lss.mes.titech.ac.jpで公開されています。