Altium Designerでの多層PCBスタックアップの計画

Zachariah Peterson
|  投稿日 May 20, 2020

近年のPCBが、単層や2層の基板で設計されることはほとんどありません。最新のPCBでは高密度の接続と多数のコンポーネントが使用されており、これからの設計は多層PCBになっていくと考えられます。手掛けるデバイスのフォームファクターがかつて見たことのないものであれば、リジッドフレキシブル基板を使用することになるでしょう。こうした種類のPCBには、適切なスタックアップが不可欠です。つまり、直感的なスタックアップ マネージャーを備えるPCB設計ソフトウェアが必要になりますが、Altium Designerではマルチレイヤー スタックアップを直接、PCBレイアウトに簡単に同期できます。

Altium Designer

 

マルチレイヤー スタックアップの管理ツールを備えるPCB設計ソフトウェアパッケージ

マルチレイヤーのスタックアップの最適な方法は、数々の要素によって変わってきます。特定の方法がなければ、あらゆる設計や配線、EMCの要件に同時に対処できます。多層PCBのデバイスのアプリケーションによっても、レイヤースタックアップの最適な方法は決まります。Altium Designerの統合設計環境では、優れたスタックアップ ツールからレイアウト、シミュレーション、ルールチェックの機能を直接使用できます。

マルチレイヤー スタックアップの計画

どんな回路基板でも、コンポーネントや銅箔の配置に関して計画を立てなければなりません。単層のPCBでさえ、レイアウトに関する計画がなければ製造にリリースできません。PCB設計では、回路の設計が終わるまでコンポーネントの配置に常に注意を払う必要がありますが、これは多層PCBにも当てはまります。両面PCBや多層PCBでは、ベリードビアの穴を追跡したり、厚さや外層について計画したりすることができます。

今後の多層PCBのスタックアップ方法を計画する際は、信号プレーンとパワープレーン/GNDプレーンの繰り返しになり、各レイヤーが絶縁コアかプリプレグで分離されることが一般的になるでしょう。リジッドフレキシブル基板は本質的に多層基板であり、それぞれにスタックアップの要件があります。その目的はレイヤー間のクロストークとEMIを抑制すると同時に、効率的な配線を可能にすることです。

多層PCBのスタックアップ方法

多層PCBの設計は技であり、芸術でもあります。設計全体のプロセスは、レイヤーの配置によって変わってきますが、レイヤー間を配線するためにビアを使用し、適切なパワープレーンとGNDプレーンのペアの配置を選択して、製造業者向けの情報をすべて含めた書類を作成する必要があります。これらは、優れたレイヤー構成マネージャーを備えるPCB設計ソフトウェアがなければ完了できません。

 Altium Designerのレイヤースタックアップ エディタのスクリーンショット

Altium Designerのレイヤースタックアップ エディタ

多層PCBでの配線

多層PCBの配線では、ビアを慎重に使ってレイヤー間に信号を送る必要があります。ここではレイヤースタックアップに応じて、特定のレイアウトルールに従う必要があります。適切なスタックアップの方法があれば、信号層のEMIとクロストークを抑制して、外部電界やノイズに対して信号を安定させることができます。ここでは、時間とコストの浪費を防ぐために、銅箔を配置する前に回路基板に問題がないかどうかを確認しておきます。

リジッドフレキシブル基板は本質的に多層デバイスに使用されるため、一般的な多層基板に適用される設計方法の多くは、リジッドフレキシブル基板にも適用されます。こうしたPCB設計の一般的でない領域については、事前にフレキシブルリボンやフレキシブル基板に関するガイドラインを確認しておくことをおすすめします。設計ソフトウェアは、スタックアップの方法にかかわらず、どんな材料にも対応し、あらゆる基板ですべての機能を使用できるものでなければなりません。

最適なレイヤースタックアップ方法には、クラス最高のPCB設計ソフトウェアが必要

レイヤー構成の設計が完了したら、PCB設計ソフトウェアで実装します。ここでは、レイヤースタックアップを視覚的に確認できる直感的なレイヤー構成マネージャーが必要になりますが、それはFR4だけでなく、どんな材料にも対応できるものでなくてはなりません。また、レイヤー間の配線にビアを使用するため、設計ソフトウェアでビアの定義を基板のレイアウトに統合できなくてはなりません。

 Altium Designerでのポリゴンの編集

Altium Designerでのポリゴンの編集

設計とマルチレイヤー スタックアップの統合

マルチレイヤー スタックアップは、多層PCB設計の最初の一歩にすぎません。次に必要になるのは、基板のサイズの指定、回路図の設計、コンポーネントの正確な配置、トレースの配線、コンポーネントデータの管理に対応するツールです。多層PCBは高速、高密度、高周波で稼働される傾向があるため、製造にリリースする前にシミュレーションと解析のツールを使って、デザインの検証と信号に関する問題の診断を行っておくことが重要です。

Altium Designerでは、優れたレイヤースタックアップやCAD、シミュレーションツールをすべて1つの統合設計環境で使用できます。シミュレーションと解析のツールはレイアウトエディタと正確に連動するため、多層PCBを詳細に解析して設計をさらに精緻化できます。また、製造への移行時には製造業者に提出する製造図、部品表、ガーバーファイルをすべて1つのプラットフォームで作成できます。回路の製造中、製造業者にとってはこれらの書類が大いに役立ちます。

Altium Designerの優れたPCB機能を活用する

設計中に複数のモジュールやプログラムを移動する必要はありません。設計ソフトウェアでは、必要なすべてのツールを1つのインターフェースで使用できることが必須です。統合設計環境を標榜していても、モジュールを移動する必要があったり、重要な機能をアドオンとして購入したりしなければならないものもあります。すべての設計ツールが1つのプラットフォームに統合されていると、品質の高い多層PCBを設計できるようになります。

統合設計環境では、優れた設計に必要なすべてのツールを1つのプラットフォームで使用できます。プログラムやモジュールを移動することなく、充実したCAD、回路設計、配線、データ管理のツールを活用することが可能です。これらの機能はすべてデザインルールチェックに組み込まれているため、設計を確実に成功へと導けます。

優れたPCB設計ソフトウェアパッケージのAltium Designerには、シンプルな単層基板から複数層のマルチボードPCBまで、あらゆる基板に対応するツールがすべて揃っています。また、PCB設計業界で求められているシミュレーションツールも用意されています。

筆者について

筆者について

Zachariah Petersonは、学界と産業界に広範な技術的経歴を持っています。PCB業界で働く前は、ポートランド州立大学で教鞭をとっていました。化学吸着ガスセンサーの研究で物理学修士号、ランダムレーザー理論と安定性に関する研究で応用物理学博士号を取得しました。科学研究の経歴は、ナノ粒子レーザー、電子および光電子半導体デバイス、環境システム、財務分析など多岐に渡っています。彼の研究成果は、いくつかの論文審査のある専門誌や会議議事録に掲載されています。また、さまざまな企業を対象に、PCB設計に関する技術系ブログ記事を何百も書いています。Zachariahは、PCB業界の他の企業と協力し、設計、および研究サービスを提供しています。IEEE Photonics Society、およびアメリカ物理学会の会員でもあります。

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