xSignal ウィザード

現在、バージョン 15.1. をご覧頂いています。最新情報については、バージョン xSignal ウィザード の 22 をご覧ください。
Applies to Altium Designer version: 15.1

xSignal (extended signal) 機能は、複数のネットを一つの信号へまとめることができます。この xSignal は、デザインルール(例えば、Matched Length デザインルール)で対象にできます。複数のネットを xSignal へまとめるために、xSignal には、直列のコンポーネントや分岐配線(T ジャンクション)に対応した高速設計で使用する設計機能が含まれています。

Altium Designer 15.0 で xSignal 機能を導入しました。xSignals は、Design » xSignals » Create xSignals コマンドを使用して作成できます。Create xSignals from Components ダイアログが表示されます。そこで、選択したコンポーネント間のネットに関する複数の xSignal を作成できます。このダイアログでは、end-to-end xSignal を作成します(つまり、ソースコンポーネントピンから到達先のコンポーネントピンまで)。この方法で、ほとんどのデザインは対応できますが、end-to-end xSignal 内で、正確に配線長をコントロールするために xSignal を追加する必要がある場合があります。

例えば、信号 Address0 の出力ピン (U1-6) が、直列終端 (R1) を介して T ジャンクションで 2 つのメモリコンポーネントの入力ピンに接続されている場合を考えてみます。分岐点は、まだ自動で管理されていません。この間、設計者は、ソースピンから終端コンポーネントまでの各 xSignal の配線長を調整できます。それから、反対側の終端コンポーネントから到達先のピンまでの各 xSignal の配線長を調整できます(必要に応じて、各分岐から開始し、終端コンポーネントと分岐点間の配線長チューニングを追加して)。

これらの機能は、Altium Designer 15.1 で導入した xSignals Wizard で利用できます。ウィザードでは、コンポーネント間の複数のネットに関する end-to-end xSignal を定義したり、それらの end-to-end の信号に関する xSignal を作成できます。また、ウィザードでは、設計者が有効にした設定に基づいて、xSignal クラスや、それらの xSignal を対象にする Matched Length デザインルールを作成できます。ウィザードを完了したら、配線長チューニングを開始できます。

 

xSignal ウィザードは、Altium Designer 15.1 で追加しました。このウィザードで、出力ピンは Source と言い、目標の入力ピンは Destination と言います。

xSignal ウィザード

xSignal ウィザードは、一つのソースコンポーネントと複数のターゲットコンポーネント間の xSignal を作成するために使用します。ウィザードでは、コンポーネントを方向づけて、可能性のある xSignal を識別します(1 つのソースコンポーネント、ネット、ターゲットコンポーネントを選択します)。それから、直列受動コンポーネントと分岐を介して、ソースコンポーネントから指定コンポーネントまでの経路を解析します。生成したい xSignal を選択して、必要に応じて、Matched Length デザインルールを作成できます。

 PCB パネルで xSignal
PCB パネルで xSignal を確認。xSignal ウィザードでは、end-to-end xSignal と、end-to-end xSignal 内で接続するための xSignal を作成できることに注意してください。

また、ウィザードは、multiple-run ツールです。例えば、xSignal Routes ページで、最初に作成する xSignal 全体のマスターグループから sub-set を選択し、クラスやルールを定義します。それから、マスターグループに戻って、他の sub-set を選択し、クラスやルールを定義できます。

ウィザードの長所の一つは、ウィザードとワークスペース間の作業が容易になることです。ウィザードのページにある xSignal をクリックすると、それに関するパッドや配線が、ワークスペースでハイライト表示されます。

この段階で、ウィザードでは、T ジャンクションの識別子(接合点、または分岐点と呼ばれます)は自動で追加されません。デザインに分岐配線が含まれている場合、以下のように促されます:

  1. ソースコンポーネントから受動コンポーネント(例えば、直列抵抗)までの配線長を調整します。
  2. T ジャンクションから到達先のコンポーネントまで、各分岐の配線長を調整します。
  3. 必要な場合、T ジャンクションまでの受動コンポーネント(または、受動コンポーネントが無い場合、ソースコンポーネントから)間の残りの配線長を調整します。

 

分岐の配線長を調整する必要がある場合、ユーザ定義の分岐点を作成します(T ジャンクションがある配線内で単一レイヤの、シングルパッドのコンポーネントを配置して)。詳細については、High Speed Design with xSignals ページの Defining the Branch Point in a Balanced T Pattern の項目を参照してください。

xSignal ウィザードを実行

xSignal ウィザードは、以下を選択して実行できます:

  • Design » xSignals » Run xSignals Wizard
  • コンポーネントを右クリックし、xSignals » Run xSignals Wizard

ウィザードは、いくつかのページで構成されていますが、ページ数は、回路構成に依存します。例えば、直列終端がある場合、追加ページがあります。各ページの設定は、以下で説明します。

ソースコンポーネントの選択

このページで、一つのソースコンポーネントを選択します。
このページで、一つのソースコンポーネントを選択します。

このページで、一つのソースコンポーネントを選択します。コンポーネントに関する フィルタMin Pin Count を使用して、目的のコンポーネントを検索できます。* や ? のワイルドカードに対応しています。

Next をクリックして続行します。

ソースネットの選択

選択したソースコンポーネントに接続されている目的のネットを選択します。
選択したソースコンポーネントに接続されている目的のネットを選択します。

選択したソースコンポーネントに接続されている目的のネットを選択します。ネットNet Class フィルタを使用して、目的のネットを検索できます。

Next をクリックして続行します。

到達先のコンポーネントを選択

到達先のコンポーネントを選択します。
到達先のコンポーネントを選択します。

到達先のコンポーネントを選択します。コンポーネントに関する フィルタMin Pin Count を使用して、目的のコンポーネントを検索できます。

Next をクリックすると、ウィザードでは、コンポーネント間の選択したネットから作成できる全ての xSignal が識別されます。ウィザードで、選択したネットに接続されているピンが 2 ピンのコンポーネントとして検出された場合、これらは、自動で直列終端コンポーネントとして識別され、追加のウィザードページが後で表示されます。

Next をクリックして続行します。

xSignal 経路

ピン間の選択したネットを同期した後、可能性のある xSignal
ピン間の選択したネットを同期した後、可能性のある xSignal が表示されます。

 

このページでは、各 Source Pin から各 Destination Pin までの xSignal がリスト表示されます。その欄をクリックすると、ワークスペースでその xSignal がハイライト表示されます。

可能性のある xSignal を識別するためにネット経路を解析後、ウィザードには、目的の組み合わせのみがリスト表示されます。これらは、end-to-end xSignalです。上図は、前ページで選択したソースと到達先コンポーネント間の xSignal を示します。

また、その図では、直列終端コンポーネント(R1、R2、R7)を検出したことを示します。R7 は、集合抵抗です。この状況で、ウィザードは、自動で論理的な結びつきを作成します。集合抵抗に関して、抵抗の片側のピンと、それと同じ列にある反対側のピンのネットをペアにします。

抵抗の反対側のピンが、同じ列に無い場合があるため、Dest Pin 欄のドロップダウンを使用して、他のネットを選択できます。あるいは、ウィザードの上部にある Show all alternative paths オプションを有効にして、xSignal を生成するためのネットの組み合わせを表示します。xSignal を作成したい各行のチェックボックスを有効にします。

 

このリストでは、右クリックメニューと、標準の Windows の複数選択キーを対応しています。また、左クリック、または スペースバー を使用して、選択した項目のチェックボックスを切り換えできます。

有効にした xSignal は、このページの下部で定義した xSignal クラス(新しい名称を入力、または既存の xSignal クラスから一つ選択します)に追加されます。

Next をクリックして続行します。

xSignal 配線長チューニング

このページは、xSignal
このページは、xSignal クラスや、この xSignalMatched Length デザインルールを作成するために使用します。

このページは、xSignal の Matched Length デザインルールを自動で作成するために使用します。この新しいデザインルールで対象にしたい xSignal のみ有効にします。デザインで、別の要件のルールが必要な場合、後で xSignal のルールを追加できます。この最初の段階では、全体の end-to-end xSignal が表示されます。後のページで、xSignal 内の一部(例えば、直列終端抵抗の出力ピン用)に関してデザインルールを定義できます。

xSignal Class Base Name 欄は、現在、選択した xSignal の名称を定義するために使用します。それから、この xSignal は、Matched Lengths Rule Base Name 欄で入力した名称、Length Tolerance の欄で指定した値のデザインルールが対象になります。

Next をクリックして続行します。

 

対象とするオブジェクトが明確にわからない場合、その項目をクリックします。ワークスペースで、その信号経路がハイライト表示されます。

ソースから受動コンポーネントまでの配線長チューニング

直列終端コンポーネントがある時、追加ページが表示されます。
直列終端コンポーネントがある時、追加ページが表示されます。

選択したネットに直列終端コンポーネントが含まれている場合、追加ページが表示されます(これらのネットに関する xSignal やデザインルールを追加できます)。上図は、ソースピンから終端コンポーネントまでの xSignal に関する Matched Length デザインルールを作成している状態を示します。xSignal / xSignal クラス / これらのデザインルールが必要な場合、Yes, I want these segments to have the same length をクリックし、目的の xSignal を有効にします。そして、Class NameRule NameTolerance を定義します。Matched Length ルールで使用する xSignal が作成されます。

Next をクリックして続行します。

受動から到達先コンポーネントまでの配線長チューニング

2 番目の追加ページは、終端コンポーネントの反対側の xSignal
2 番目の追加ページは、終端コンポーネントの反対側の xSignal を定義するために使用します。

このページは、終端コンポーネントから到達ピンまでの xSignal に関する Matched Length デザインルールを作成するために使用します。これが必要な場合、Yes, I want these segments to have the same length をクリックし、目的の xSignal を有効にします。そして、Class NameRule NameTolerance を定義します。Matched Length ルールで使用する xSignal が作成されます。

Next をクリックして続行します。

レポートと継続

これから作成する xSignal
これから作成する xSignal とルールの概要(xSignal の作成を継続するオプションを含む)。

このページでは、以下の情報が表示されます:

  • これから作成する xSignal の数
  • これから作成するデザインルールの数

このページの下部で、以下を選択できます:

  • continue length tuning for created signals - 前ページの特定の xSignal を無効にして、それらの xSignal のルールを追加する必要がある場合、このオプションを選択します。
  • Restart Wizard for the same source component - これらの設定を放棄して、同じコンポーネント/ネットについてウィザードを再開したい場合、このオプションを選択します。
  • Finish Wizard - このソースコンポーネントの xSignal とデザインルールを作成して終了する場合、このオプションを選択します。

 

xSignal の詳細情報は、PCB パネルで xSignal モードにして表示できます。選択した xSignal クラス、または xSignal は、Delete キーを押すと削除できます。

これらの xSignal は、配線長チューニングを実行できる状態です。ワークスペース上のネットを右クリック、または PCB パネルで xSignals モードにしてネットを右クリックし、Interactive Tuning を選択します。

 

配線長チューニングのアコーディオンは、容易に削除できます。アコーディオンの任意のセグメントをクリックしてから、Delete を押します。

アコーディオンを配置した時、既存のトラックセグメントの開始、終了点でセグメントが分割されることに注意してください。そのため、アコーディオンを削除すると、複数の短いトラックセグメントで接続された直線のトラックになります。複数の短いトラックセグメントを一つのセグメ ントにするには、Design » Netlist » Clean All Nets コマンドを実行します。

 

注記

利用できる機能は、Altium Designer ソフトウェア サブスクリプション のレベルによって異なります。