AIスキルの使用と管理
スキルとは、Engineering Assistantが特定のタスクをより一貫して実行するために使用できる、再利用可能な指示のセットです。スキルには、特定のエンジニアリングタスクをどのように実行すべきか、つまり、その目的、適用範囲、必要な入力、実行手順がまとめられています。これにより、誰がいつ実行しても、同じ結果を一貫して得ることができ、ユーザーが毎回同じ指示を説明する必要もありません。
スキルは、次のようなものと捉えることができます。
-
繰り返し実行できるエンジニアリングワークフロー
-
実行可能な形にした組織の標準
-
専門知識をまとめ、再利用可能にする手段
スキルは、ユーザーの意図に基づいてAIが自動的に選択し、適用します。 コマンドを覚えたり、スキルを手動で選択したりする必要はありません。 メッセージを送信すると、Engineering Assistantは次の処理を行います。
-
ユーザーの意図と現在のコンテキストを分析します。
-
Workspaceで利用可能なスキルを確認します。
-
リクエストを各スキルのShort Descriptionと比較し、関連するスキルを判断します。
-
最も適合するスキルを選択します。
-
スキルのInstructionsに従ってタスクを実行します。
-
確認用に結果を返します。
たとえば、Rewrite these requirements using our company writing standardを送信すると、Engineering Assistantはその意図(要件の標準化)を検出し、短い説明がリクエストに最も適合するスキルを特定して、そのスキルで定義された指示を実行し、改善された要件を返します。
スキルの使用例
-
Break Down Complex Requirements – 選択した要件を分析し、元の意図を維持しながら、個別にテスト可能な、より小さな要件に分割します。
プロンプト例:
Break down these requirements. -
Apply Requirement Writing Standards – 要件をレビューし、組織の要件記述ガイドラインに従って書き直します。一般的なチェック項目には、曖昧さ、検証できない表現、動作主体の欠落、不明確な受け入れ基準などがあります。
プロンプト例:
Rewrite these requirements according to our requirement quality standard. -
Translate Requirements – 技術的な意味、用語、ID、トレーサビリティ参照を維持しながら、要件をある言語から別の言語に翻訳します。
プロンプト例:
Translate these requirements to German. -
Classify Requirements – 電子、機械、ソフトウェア、セーフティ、セキュリティ、その他の企業独自の分類など、組織の分類体系を要件に適用します。
プロンプト例:
Classify these requirements according to our applicability model. -
Generate Verification Criteria – 要件を分析し、適合性を常に同じ方法で実証するために使用できる検証方法、受け入れ基準、またはテスト条件を提案します。
プロンプト例:
Generate verification criteria for these requirements. -
Summarize a Specification/Section/Group of Requirements – 仕様書、要件セクション、または要件セットについて、簡潔で構造化された要約を生成します。
プロンプト例:
Summarize the selected requirements.
利用可能なスキルは、AI Skillsウィンドウで管理します。このウィンドウには、Engineering Assistantペインの右上にある
ボタンをクリックしてアクセスします。このウィンドウでは、新しいスキルの追加や、既存のスキルの変更および削除ができます。
-
既存のスキルは、ウィンドウ左側のWorkspace Skills領域に一覧表示されます。項目をクリックすると、選択したスキルの詳細が表示されます。
-
新しいスキルを追加するには、ウィンドウ左下の
ボタンをクリックします。新しいスキルの項目がリストに表示されます。新しいスキルのName、Short Description、Instructionsを定義し、右下の
ボタンをクリックします。
各フィールドの詳細については、以下の折りたたみセクション「スキル作成のベストプラクティス」を参照してください。
-
既存のスキルを編集するには、リストでスキルを選択し、必要に応じてフィールドを変更してから、右下の
ボタンをクリックします。
-
既存のスキルを削除するには、リストでスキルを選択し、右下の
ボタンをクリックして、削除を確定します。
スキル作成のベストプラクティス
適切に作成されたスキルは、AIが次の2点を理解するのに役立ちます。
-
そのスキルをいつ使用すべきか
-
スキルの実行時にAIが何をすべきか
これらは、それぞれ異なる目的を持つ3つのフィールドで表現されます。
-
Name – スキルを識別しやすくします。
-
Short Description – そのスキルがどのような場合に適しているかをAIが判断するのに役立ちます。
-
Instructions – スキルが選択された後にAIが従うべき動作を定義します。
各フィールドの詳細については、以下のセクションを参照してください。
名前
Nameは、短く明確で、実行する操作がわかるものにする必要があります。スキルの目的をすばやく理解できる名前にしてください。適切な名前は通常、そのスキルが実行する操作と、処理対象となるエンジニアリングデータの種類を表します。
適切なスキル名は、次の条件を満たす必要があります。
-
他のスキルと区別できる程度に具体的である
-
スキル一覧でひと目で把握できる程度に短い
-
スキルが実行する主要なタスクに焦点を当てている
-
ユーザーが自然に理解できる言葉で書かれている
意味が広すぎる名前や一般的すぎる名前は避けてください。さまざまなタスクに当てはまる名前は、具体性が不足している可能性があります。
短い説明
Short Descriptionは、スキルの内容と、それをいつ実行すべきかをAIが理解するのに役立ちます。スキルを手動で選択する必要がないため、このフィールドは重要です。アシスタントはプロンプトを分析し、利用可能なスキルと比較して、そのスキルが適切かどうかを判断します。
適切な短い説明には、次の内容を含める必要があります。
-
スキルが実行するタスク
-
適用対象となるエンジニアリングデータの種類
-
そのスキルを使用すべき場面
-
そのスキルに期待される成果
短い説明は、簡潔でありながら曖昧でないことが重要です。AIがそのスキルを類似のスキルと区別できるよう、十分な背景情報を含めてください。
不十分な短い説明は、スキルが属する分野を示すだけです。優れた短い説明は、具体的なタスク、想定される利用状況、使用のきっかけとなる状況を説明します。たとえば、単に「要件に関する作業を支援する」と説明するのではなく、要件の品質レビュー、複雑な要件の分解、要件文の翻訳、矛盾の検出、検証基準の生成など、どの具体的な処理を行うスキルなのかを明確にする必要があります。
短い説明でスキルの目的と利用状況を明確にするほど、アシスタントはそのスキルをいつ適用すべきかを、より確実に判断できます。
指示
Instructionsは、スキルが選択された後にAIが何をすべきかを定義します。これは、スキルの動作を制御するうえで最も重要なフィールドです。短い説明はAIがスキルをいつ使用するかを判断するためのものですが、指示はスキルをどのように実行するかを定義します。
適切な指示は、明確な手順として記述する必要があります。最終的な出力だけでなく、その出力を作成する際にAIが従うべき考え方や制約も示してください。
指示では、次の事項を説明する必要があります。
-
AIが最初に分析すべきこと – 通常、アシスタントは何かを変更または生成する前に、技術的な意図、背景、構造、関係性を理解する必要があります。
-
AIが実行すべき手順 – 出力に再現性と予測可能性を持たせるため、動作を明確な手順に分ける必要があります。
-
AIが保持すべきもの – 元の意図、要件ID、専門用語、単位、値、制約、参照、適用範囲、階層構造、トレーサビリティに関する情報などが含まれます。
-
AIが行ってはならないこと – 優れたスキルは、不足している技術的詳細を捏造する、意図を変更する、新たな仮定を持ち込む、ユーザーの確認なしに変更を適用するといった行為を明示的に禁止します。
-
AIが不確実性にどう対処すべきか – 情報が欠けている場合、曖昧な場合、または不十分な場合は、推測せずに問題を明確に示すよう、スキルでAIに指示する必要があります。
-
想定される出力形式 – 結果を表、箇条書き、書き換えた文章、要約、チェックリスト、構造化されたレポートのいずれで出力するかを、スキルで定義する必要があります。
エンジニアリング業務では、アシスタントが仕様、妥当性確認、設計上の判断、後工程での実装に影響するデータを扱う可能性があるため、適切な指示が特に重要です。そのため、スキルはAIが過信することなく、有用な支援を提供できるように導く必要があります。
その他の注意事項
-
目的は長いプロンプトを書くことではありません。AIのための明確な作業手順を定義することです。
-
スキルの目的を絞る
スキルは、繰り返し行う1つのタスクを適切に実行できるものであるべきです。
1つのスキルで多くのことを行おうとすると、アシスタントが使用すべきタイミングを判断しにくくなり、ユーザーも出力を信頼しにくくなります。たとえば、要件の分解、翻訳、品質レビュー、トレーサビリティ分析、検証内容の生成を1つのスキルにまとめるべきではありません。ただし、これらの処理が、明確に定義された単一のワークフローの一部として意図的に組み込まれている場合は例外です。
スキルの目的を達成するために、互いに関連しない複数の処理が必要な場合は、別々のスキルに分割してください。
-
許容範囲を明確に定義する
優れたスキルは、許容範囲を明示します。
これは、要件、仕様、技術データを扱う際に特に重要です。アシスタントは、何を変更してよいのか、何を提案するだけにとどめるべきか、何を決して仮定してはならないかを把握する必要があります。
有用な制限事項には、次のようなものがあります。
-
元の技術的な意図を変更しない
-
値、制約、設計上の判断を捏造しない
-
IDや参照を削除しない
-
記載されていない検証方法を仮定しない
-
ユーザーの確認なしに変更を自動適用しない
-
不明確な情報を事実として扱わない
許容範囲を明確にすることで、もっともらしく見えても技術的に誤った出力が生成されるリスクを低減できます。
-
-
出力形式を定義する
スキルでは、結果をどのように返すかをAIに指示する必要があります。
出力形式が統一されていると、スキルの結果をレビュー、比較、再利用しやすくなります。
スキルに応じて、出力には次のような形式があります。
-
表
-
箇条書き
-
書き換えた要件
-
構造化されたレポート
-
チェックリスト
-
要約
-
変更案の一覧
-
質問や未解決事項の一覧
出力形式は、スキルの目的に合わせる必要があります。たとえば、レビューを目的とするスキルには、問題点、説明、推奨事項の列を持つ表が適していることがよくあります。書き換えを目的とするスキルでは、原文、修正案、その根拠を示す形式が効果的です。
-




