芸能の世界と同じく、エンターテイメントエレクトロニクスは変化しやすい業界です。新しい製品を完成させてアーティストやエンジニアにすばやく届けることは、製品の外観や音質を優れたものにすることと同じくらい重要です。それに加え、製品をアーティスト向けに直感的なものにしたり、過酷なツアーに適した軽量で頑丈なものにしたり、それでいて手頃な価格を設定しなければなりません。さらに、プリアンプには高価なゲルマニウムトランジスタやミリタリーグレードの真空管のオールドストック品が必要なことも忘れてはなりません。これらをどのように調達できるでしょうか?

希少な部品の調達

製品のマーケティングでは、昔に製造されていた手に入りにくい希少な部品が優位性を発揮することがあります。古い電子管、ニキシー表示管、ゲルマニウムトランジスタのオーディオ、忠実度の高いオペアンプは、すべて調達が困難になり得ます。もちろん、インターネットの検索エンジンを使うこともできますが、それには驚くほど時間がかかるうえ、最終的に何の役にも立たないこともあります。インターネットには空約束があふれているからです。必要な部品を見つけるためには、確かな結果をもたらしてくれるツールが必要です。そして、それらの結果を部品表に追加し、すばやく部品の購入を行って、製造中止になったJFET(接合型電界効果トランジスタ)などを競合より先に入手できなくてはなりません。

サプライチェーンの確保
いくつかの希少な部品を使用する場合も、設計の90%以上では手に入りやすい部品が使用される可能性が高く、こうした部品についてはできるだけ有利な価格と潤沢な在庫状況を確保しなければなりません。


美しい外観を備える製品の設計

通常、エンターテイメント業界ではエレクトロニクス製品のルックアンドフィールがAV品質と同じくらい重要です。つまり、技術志向のユーザーと同じくらい芸術志向のユーザーも販売の対象になります。長方形のフラット化したエレクトロニクスの世界はもう終わりました。革新的な工業デザイナーや人間工学を重視する機械設計者と連携し、優れたルックアンドフィールを備えた製品をユーザーに届けなければなりません。電子計器、オーディオ編集装置、録音機器にかかわらず、ここでは形状もサイズも重量もすべてが重要です。こうした条件に加えて、ツアーでの使用に適したXLR、IEC電源インレット、6.35mmジャック、 AES/EBU、MIDI DIN、その他の多くのレガシーコネクタも必要とされており、すべてをぴったりと適合させ、素晴らしい外観を確保しなければなりません。

形状と機能の融合
私たちの世界はもはや2次元ではありません。エンターテイメント業界で応用される電子設計では、ネイティブ3D PCBの機能のほか、ECADとMCADでの密接な相互運用性が要求されています。


多くのチャンネルを確保

MIDIコントロールサーフェスの設計であれ、クラスDオーディオパワーアンプや最新の魅力的な可動ヘッドを備えたLED照明器具の開発であれ、階層的なマルチチャンネルデザイン向けの適切なツールがなければ、反復的なエラーが作業で何度も発生する恐れがあります。ここでは、音声、動画、デジタルIO、ステッパモータドライバ、LEDマトリクス、コネクタという複数のチャンネルに対応することが望ましいでしょう。ネット名の変更、参照識別子のクリーンアップ、手間のかかるエラーの取り消しが必要になるとわかっているときに、なぜコピー&ペーストを使う必要があるでしょう? これでは、コピー元のエラーがすべてのチャンネルに複製されるだけです。

自動化されたマルチチャンネルデザインの再利用
マルチチャンネルと再利用の機能では、設計した元のチャンネルの電気回路を回路図とPCBのレイアウトで繰り返して使用することで、時間を大幅に節約できます。ここでは、元の設計に加えた変更が別のチャンネルに複製されるため、修正が必要なエラーになりやすい問題が発生しなくなります。部品の数量などのパラメータをチャンネルごとに変更できれば便利だと思いませんか? 


製造コストの削減と市場投入

エンターテイメント業界では少規模から中規模の製造量が要求されるため、何にもまして価格が重視されます。利益性を維持することはますます困難になっており、残された選択肢は2つしかありません。それは、実践志向のユーザーを対象に低価格で製品を提供すること、または製造量の少ない高額な製品に価値を見出す「目利き」の顧客を対象に高級品として製品を提供することです。どちらの場合も、リスクを劇的に高める高額な製造コストを最小限にする必要があります。

品質を確保し、コストを最小化する設計
主な設計を完了してバグを解決し、適切なルックアンドフィールを確保して成型加工や組み立てで微調整を行った後は、すべてにかかった時間とNREコストに見合う見返りが必要でしょう。名前を変えたり、バリアントを使ったりして製品を販売すれば、設計の市場浸透率を最大限にできるはずです。

  • 回路図とPCB設計の両方で使用できる強力なバリアント機能により、再利用が可能な設計を行ってパラメーター化された設計フローを作成し、同じPCBと機械設計を製品のバリアントで無制限に活用できます。この機能は、ストンプボックスエフェクト、照明器具、ミキシングコンソール、舞台設備に最適です。
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  • マネージドシートでは、一度作成した基本的な回路要素を再利用して設計を加速できるほか、購買数量や組み立て工数の予測も可能になります。  
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  • BOMコストの目標を設定し、設計中に進捗を追跡できます。 
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  • 回路図やPCBエディタの動作を自然でストレスのないものにする細かな配慮が、生産性を大幅に改善します。たとえば、マウスの動作、回路図とPCBで共通するショートカット、クロスセレクト、クロスプローブ、スマートペースト、Windows®デスクトップとの相互運用性といった機能性を備えるため、違和感のない操作が可能です。
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