CAMドキュメントの解析

概略

Altium DesignerのCAMtasticエディターに搭載された解析ツールを活用して、CAMドキュメントのチェックや編集を行う方法をご紹介します。この記事では、デザインルールチェックの設定、違反の確認と利用可能な修正の適用、無効なポリゴンの検索、ドリルレイヤーからの製造図面の作成、境界の塗りつぶし・クリーンアップ・生成について説明します。また、CAMオブジェクトを調べるためのクエリコマンドも紹介します。これらのツールをご自身のCAMドキュメントで活用する方法を、ぜひご覧ください。

- DRCの許容値の設定、適用可能なPCBデザインルールの読み込み、修正済みの違反と未解決の違反の確認方法を学びます。
- 無効なポリゴンの検索方法と、境界の塗りつぶしやクリーンアップに必要な条件を含む、境界の操作方法を理解します。
- ドリルデータに基づく製造図面の生成方法と、個々のオブジェクトにクエリを実行してレイヤー、Dcode、オブジェクトタイプなどの詳細を確認する方法を学びます。
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PCB設計のチェックと修正

現在のドキュメントでデザインルールチェックを実行するには、メインメニューから Analysis » PCB Design Check/Fix コマンドを選択します。コマンドを実行すると、PCB Design Check/Fix ダイアログが表示されます。このダイアログには、最小アニュラリングを含むサイズとクリアランスに関する各種制約に加え、電源/グランド間の短絡、ドリルの二重打ち、ネット間の短絡など、さまざまなDFM(製造性設計)制約が一覧表示されます。チェックする制約を選択し、許容値(mil単位)を入力して、検出された違反に対してCAMtasticエディターによる自動修正を試みるかどうかを指定します。

Open ボタンと Save ボタンを使用して、DRC設定を読み込み/保存します。設定はCAMtastic DRC設定ファイル(*.drc)に保存されます。

Reset ボタンを使用すると、許容値をデフォルト設定に戻せます。サイズに関するすべての制約は 5mil に戻ります。ただし、部品間隔(Part->Part Spacing)は例外で、10mil になります。

必要に応じてDRCオプションを設定したら、OK をクリックしてチェックを開始します。設計のネットリストがまだ抽出されていない場合は、その旨が通知され、ネットリストの抽出後にDRCが続行されます。チェックが完了すると、違反の概要を示す情報ダイアログが表示されます。各ルールチェックについて、Found、Fixed 、Remaining  の違反件数が一覧表示されます。

DRCを実行すると、CAMtastic パネルの Drc タブがアクティブになり、すべての違反(修正済みと未修正の両方)が一覧表示されます。特定のDRCカテゴリのサブフォルダーをクリックすると、メインの設計ワークスペースで、その違反の原因となっているオブジェクトが拡大表示され、ハイライトされます。パネル内の違反項目を右クリックするとコンテキストメニューが開き、可能な場合に違反を自動修正するコマンドを使用できます。親フォルダーを右クリックすると、その配下にある同じ種類のエラーをすべて修正するコマンドを使用できます(修正可能な場合)。

許容値はダイアログ内で直接編集できます。また、Analysis » Re-load DRC Rules from PCB コマンドを使用して、PCBドキュメント自体に定義されているデザインルールから、該当する許容値を読み込むこともできます。コマンドを実行すると、PCBドキュメント内の該当するデザインルールの許容値が、PCB Design Check/Fix ダイアログの Size (mils) 列に読み込まれます。PCBデザインルールの種類と、PCB Design Check/Fix ダイアログ内の対応するDRC項目との関係は次のとおりです。

定義されたPCBデザインルール: 対応するCAM DRCチェック:
最小アニュラリング 最小アニュラリング(ドリル->パッド)
ソルダーマスク拡張 最小アニュラリング(パッド->マスク)
クリアランス 最小クリアランス(パッド->パッド)
クリアランス 最小クリアランス(パッド->配線)
クリアランス 最小クリアランス(配線->配線)
配線幅 最小配線幅
最小ソルダーマスクスリバー はんだブリッジ
最小ソルダーマスクスリバー マスク上のシルクスクリーン

無効なポリゴンの検索

Analysis » Invalid Polygon Search コマンドは、現在のドキュメント内にある無効なポリゴンを検索するために使用します。CAMドキュメントのポリゴンは、ラスターフィルで塗りつぶされた連続した輪郭境界です。ラスターフィルで塗りつぶされた境界では、重なりや複数箇所での頂点の共有はサポートされません。このようなポリゴンは無効とみなされ、確認せずに放置すると、フォトプロット時に意図しない結果を招くおそれがあります。

コマンドを実行すると、カーソルが小さな四角形に変わり、「描画オブジェクトを選択」というメッセージが表示されます。設計内のポリゴンを囲むように選択ボックスをドラッグします。設計全体を囲むようにドラッグすると、より効率的に選択できます。選択したら、右クリックします。情報ダイアログが表示され、No Invalid Polygons were Found、または n Invalid Polygons were Found と通知されます。後者の場合、問題のあるポリゴンには次の未使用のDcodeが割り当てられ、設計スペース内で塗りつぶしが解除されます。

Undo コマンドを使用して、無効なポリゴンを復元できます。

製造図面の作成(ドリルから)

利用可能なドリルレイヤーを使用して現在のドキュメントの製造図面を作成するには、メインメニューから Analysis » Create Fab Drawing (from Drill) コマンドを選択します。コマンドを実行すると、カーソルが小さな四角形に変わり、PCB設計の閉じた外形を選択するよう求められます。外形全体を線分ごとに選択し、右クリックします。Create NC Drawing ダイアログが表示されます。

このダイアログには2つのタブがあります。PCB Information タブには、選択したPCB外形から自動計算されたPCBの全体寸法と、会社情報を入力するためのフィールドが表示されます。PCB Drawing Size タブでは、生成する製造図面のサイズ(標準サイズA~E)を指定できます。

必要に応じて図面オプションを設定し、OK をクリックすると、新しいレイヤー fablayer が作成され、CAMtastic パネルのレイヤー一覧に追加されます。このレイヤーが現在のレイヤーになり、それまでオンだった他のすべてのレイヤーはオフになります。

このレイヤーには、使用されている各ツールサイズを示す記号と、各穴径の数量やめっきの有無などの追加情報を含む凡例が配置されます。

  • 設計内にドリルレイヤーが見つからない場合、fablayer は生成されず、ドリルレイヤーがないことを知らせる警告ダイアログが表示されます。
  • PCBイメージよりも大きな図面サイズを選択してください。
  • fablayer 上の情報は、現在のDcodeを使用して描画されます。現在のDcodeを適切な形状とサイズに設定してください。適切でない場合、テキスト情報が判読できなくなります。

境界内の塗りつぶし

選択した閉じた境界オブジェクトを、最適化されたラインストロークで塗りつぶすには、メインメニューから Analysis » Fill Boundaries コマンドを選択します。コマンドを実行すると、カーソルが小さな四角形に変わり、塗りつぶす閉じた境界オブジェクトを選択するよう求められます。オブジェクトの境界の一部にカーソルを合わせ、クリックします。続けてオブジェクトを選択に追加し、完了したら右クリックします。

Fill Boundaries ダイアログが表示されます。このダイアログでは、塗りつぶしを配置するレイヤー、使用する最小ツールサイズ、塗りつぶし処理で1つのツールのみを使用するか複数のツールを使用するかなど、塗りつぶしのオプションを設定します。

ダイアログで必要に応じてオプションを設定したら、OK をクリックして処理を続行します。選択したすべての境界は、それ以上オフセットできなくなるまで内側にオフセットされます(Use Single Internal Offset オプションが有効な場合は1回のみ)。その後、設定したオプションに従って、境界内がラインパターンで塗りつぶされます。

このコマンドを使用するには、境界が正しく閉じている必要があります。線分を使用して境界を作成した場合は、Joinコマンドを使用して、正しく閉じた境界にする必要があります。

境界の修正

ポリラインの端点が正確に接続されておらず、交差しているために、きれいに閉じた境界になっていない場合は、メインメニューからAnalysis » Clean Boundariesコマンドを選択して修正します。 コマンドを実行すると、カーソルが小さな四角形に変わり、修正するポリラインオブジェクトを選択するよう求められます。各ポリラインの境界にカーソルを合わせてクリックします。

Join & Fix Polylinesダイアログが表示されます。このダイアログで、ポリラインの端点を結合するためのオプションを設定します。

必要に応じてオプションを設定したら、OK をクリックして修正を適用します。情報ダイアログが表示され、修正されたポリラインオブジェクトの数(Closed)と、修正されなかった数(Open)が報告されます。

  • このコマンドは、閉じた形状にする意図で作成されたものの、端点が正確に接続されずに交差している、閉じていないポリラインオブジェクトにのみ使用することをお勧めします。
  • Display Open Boundary Marker(s)オプションを使用すると、修正できずに開いたままになっているポリラインの端点に、新しいレイヤーであるpolyline_pro_open_markersレイヤー上にマーカーが配置されます。
  • 開いたままの境界がある場合は、許容値を大きくして操作を繰り返してみてください。

アウトラインの生成

現在のドキュメントで選択したオブジェクトからアウトライン境界を作成するには、メインメニューからAnalysis » Generate Outlinesコマンドを選択します。コマンドを実行すると、カーソルが小さな四角形に変わり、アウトラインを生成するオブジェクトを選択するよう求められます。個々のオブジェクトにカーソルを合わせてクリックし、選択に追加するか、用意されている各種選択ツールを使用します。すべてのオブジェクトを選択したら、右クリックします。Vector to Outlineダイアログが表示されます。

ダイアログの上半分では、生成するアウトラインのスタイルを、分割、角形エッジ、丸形エッジから選択できます。

アウトラインオブジェクトの配置先として、同じレイヤー、新しいレイヤー、または既存のレイヤーのいずれかを選択できます。Delete Old Objectsオプションでは、比較用に元のオブジェクトを残すかどうかを選択できます。

アウトラインの描画に使用するDcodeを選択します。現在のドキュメントで定義されている既存のDcodeのいずれかを選択するか、Polygon、またはデフォルトの0.005in (0.127mm)形状を使用できます。

必要に応じてオプションを設定したら、OK をクリックしてアウトラインを生成します。

  • ドキュメントをアウトラインモード(Fillモードをオフ)で表示すると、それまでの表示にかかわらず、すべてのオブジェクトが同じ線幅で表示されます。
  • Dcodeの幅情報は、Fillモードでのみ表示に反映されます。アウトラインを生成すると、このDcodeの幅情報が使用されるため、異なるアパーチャで描画された線は、アウトラインモードでも違いを確認できます。

CAMドキュメントの要素の照会

Analysis » Queryサブメニューのコマンドを使用して、CAMドキュメント内のさまざまな要素に関する情報を取得できます。

照会コマンドを使用する前に、CAMtastic パネルが表示されていることを確認してください。
すべての測定情報には、ワークスペースの現在の単位(インチまたはミリメートル)が使用されます。単位は、CAMtastic パネル、またはPreferencesダイアログのCAM Editor - Drawing Modesページで変更できます。
  • Analysis » Query » Object (ショートカット:Q)– このコマンドは、現在のドキュメントで選択した単一のオブジェクトに関する情報を取得するために使用します。

    コマンドを実行すると、カーソルが指差しの形に変わり、オブジェクト照会モードになります。照会するオブジェクトにカーソルを合わせてクリックします。そのオブジェクトに関する情報が、CAMtastic パネルのInfo タブに表示されます。表示される情報は、照会するオブジェクトの種類によって異なり、レイヤー、Dcode関連情報、オブジェクトの種類などが含まれます。

    続けてほかのオブジェクトを照会するか、Esc を押して照会モードを終了します。

    複数のレイヤーが表示されている場合、異なるレイヤーのオブジェクトが重なっていることがよくあります。そのようなオブジェクト上で繰り返しクリックすると、重なっている各レイヤーのオブジェクトが順番に切り替わります。それに応じて、CAMtastic パネルの情報が更新されます。

  • Analysis » Query » Group – このコマンドは、現在のドキュメントで選択したオブジェクトのグループに関する情報を取得するために使用します。

    コマンドを実行すると、カーソルが小さな四角形に変わり、オブジェクト照会モードになります。照会の対象に含めるオブジェクトを選択するよう求められます。選択に含めるオブジェクトにカーソルを合わせてクリックします。オブジェクトのない場所をクリックしてドラッグすると、選択範囲を指定して複数のオブジェクトを選択に含めることができます。選択したオブジェクトは累積して追加されます。

    続けてオブジェクトを選択に追加し、必要なオブジェクトをすべて選択したら右クリックします。

    各オブジェクトに関する情報は、CAMtastic パネルのInfo タブに、個別のフォルダーで表示されます。表示される情報は、照会するオブジェクトの種類によって異なり、レイヤーやDcode関連情報などが含まれます。

    パネル内のフォルダーの順序は、オブジェクトを選択に追加した順序によって決まります。照会しているオブジェクトを把握しやすくするには、選択ボックスを使用するよりも、オブジェクトを個別に選択に追加することをお勧めします。

  • Analysis » Query » Net (ショートカット:Shift+N)– このコマンドは、現在のドキュメントで選択した単一のネットに関する情報を取得するために使用します。

    コマンドを実行すると、カーソルが指差しの形に変わり、ネット照会モードになります。目的のネットに属するオブジェクトにカーソルを合わせてクリックします。ネット全体が選択され、そのネットに関する情報がCAMtastic パネルのInfo タブに表示されます。この情報には、ネット名、ネットが存在するレイヤーとその種類、およびネットの全長が含まれます。

    続けてほかのネットを照会するか、Esc を押して照会モードを終了します。

  • Analysis » Query » Minimum Annular Ring – このコマンドは、選択したパッドのアニュラリングを照会するために使用します。

    コマンドを実行すると、カーソルが指差しの形に変わり、アニュラリング照会モードになります。アニュラリングを照会するパッドにカーソルを合わせてクリックします。X方向とY方向のアニュラリングの距離の値が、CAMtastic パネルのInfo タブに表示されます。

    続けてほかのパッドを照会するか、Esc を押してアニュラリング照会モードを終了します。

距離の測定

Analysis » Measureサブメニューのコマンドを使用して、CAMドキュメント内の点、ネット、オブジェクト間の距離を測定できます。

測定コマンドを使用する前に、CAMtastic パネルが表示されていることを確認してください。
すべての測定情報には、ワークスペースの現在の単位(インチまたはミリメートル)が使用されます。単位は、CAMtastic パネル、またはPreferencesダイアログのCAM Editor - Drawing Modesページで変更できます。
  • Analysis » Measure » Point to Point (ショートカット:Shift+M)– このコマンドは、現在のドキュメント内の任意の2点間の距離を測定して表示します。

    コマンドを実行すると、カーソルが小さな十字に変わり、測定モードに入ります。測定は次の手順で行います。

    1. 測定を開始する位置にカーソルを合わせてクリックします。
    2. 終点にカーソルを移動し、もう一度クリックします。カーソルを移動すると、始点からガイド線が伸び、位置決めを補助します。
    3. CAMtastic パネルの Info タブに測定情報が表示されます。表示される情報は、測定した2点間の距離、始点と終点の座標、X方向とY方向の距離、および水平方向に対する角度です。
    4. 引き続き他の点間の距離を測定するか、 Esc を押して測定モードを終了します。
  • Analysis » Measure » Net to Net – このコマンドは、現在のドキュメント内の任意の2つのネット間の最短距離を測定して表示します。

    まず、デザインのネットリストが使用可能であることを確認します(パネルの Nets タブ)。必要に応じて、事前にネットリストを抽出してください。

    コマンドを実行すると、カーソルが小さな四角形に変わり、測定モードに入ります。測定は次の手順で行います。

    1. 測定対象の1つ目のネットに属するオブジェクトにカーソルを合わせてクリックします。
    2. 測定対象の2つ目のネットに属するオブジェクトにカーソルを移動し、もう一度クリックします。2つのネット間の距離が最短となる位置に接続線が表示されます。
    3. CAMtastic パネルの Info タブに測定情報が表示されます。表示される情報は、この2点間の最短距離、接続線の始点と終点の座標、X方向とY方向の距離、および水平方向に対する角度です。
    4. 引き続き他のネット間の距離を測定するか、 Esc を押して測定モードを終了します。
  • Analysis » Measure » Object to Object – このコマンドは、現在のドキュメント内の任意の2つのオブジェクト間の最短距離を測定して表示します。

    まず、デザインのネットリストが使用可能であることを確認します(パネルの Nets タブ)。必要に応じて、事前にネットリストを抽出してください。

    コマンドを実行すると、カーソルが小さな四角形に変わり、測定モードに入ります。測定は次の手順で行います。

    1. 1つ目のオブジェクトにカーソルを合わせてクリックします。
    2. 測定対象の2つ目のオブジェクトにカーソルを移動し、もう一度クリックします。2つのオブジェクト間の距離が最短となる位置に接続線が表示されます。
    3. CAMtastic パネルの Info タブに測定情報が表示されます。表示される情報は、この2点間の最短距離、接続線の始点と終点の座標、X方向とY方向の距離、および水平方向に対する角度です。
    4. 引き続き他のオブジェクト間の距離を測定するか、 Esc を押して測定モードを終了します。
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