ピンのパッケージ遅延

概略

この記事では、高速設計、特に500 MHzを超える設計において、ピンのパッケージ遅延が重要な理由と、Altium Designerの回路図エディターおよびPCBエディターでPin Package Length(ピンパッケージ長)またはPropagation Delay(伝搬遅延)の値を使用して、その遅延を考慮する方法を解説します。遅延情報の入手元から、各値が信号長や配線遅延の計算に与える影響、回路図とPCB間での値の受け渡し、PCBパネルやxSignalsのワークフローで結果を確認する方法まで、順を追って説明します。設計における長さマッチングの精度を高め、タイミングをより正確に把握したい方は、ぜひ読み進めてください。これらの設定の位置付けと使い方を理解することで、高速設計の制約をより確実に適用できるようになります。

- ピンのパッケージ遅延とは何か、ピン互換のデバイスでも動作に違いが生じる理由、設計フローのどの段階でこのデータを考慮すべきかを学びます。
- Altium DesignerでのPin Package LengthとPropagation Delayの扱いと、それぞれの値が信号長および遅延の計算にどのように反映されるかを確認します。
- 回路図エディター、PCBエディター、PCBパネル、xSignals環境で、これらの値を入力、転送、確認する場所を把握します。
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500 MHzを超えるすべての高速設計では、接続媒体、つまりダイへのボンディングワイヤーによって信号に遅延が生じます。このデバイス内部の遅延をピン・パッケージ遅延と呼びます。設計およびPCBの観点から2つのデバイスに完全なピン互換性がある場合でも、パッケージ内の伝搬時間はデバイスごとに異なるため、これを考慮する必要があります。伝搬時間の情報は、デバイスのIBIS 6ドキュメントに記載されています。Package Pinsの情報は、I/O計画段階、またはFPGAの場合は合成後に考慮する必要があります。各デバイスメーカーは、ピコ秒単位の遅延時間または長さとして規定されたパッケージ遅延を提供できるはずです。

遅延は、回路図エディターのピン、またはPCBエディターのパッド/ビアの該当フィールドを使用して、Pin Package LengthまたはPropagation Delayとして設計に組み込むことができます。入力した値は、次のように処理されます。

Pin Package Length - 各ネット内のすべてのピン・パッケージ長がPCBエディターで合算され、Total Pin/Package Lengthになります。この値は、そのネット全体のSignal Lengthに含まれます。信号長の詳細については、PCBパネルのNetsモードを参照し、信号長についての説明をご覧ください。

Propagation Delay - 各ネット内のピン/パッドおよびビアに定義されたユーザー定義の遅延値はすべて、PCBエディターでそのネットの配線遅延に加算されます。配線遅延は、Layer Stack Managerに組み込まれたSimbeor®電磁界ソルバーによって自動計算されます。パッドとビアの遅延は自動計算されませんが、ユーザーが定義できます。

  • LengthおよびMatched Lengthsのデザインルールは、長さまたは遅延に基づいて設定できます。

  • Signal Length、 Total Pin/Package Length、Delayは、PCBパネルのさまざまなモードで表示できます。これには、Netsモード、Differential Pairs Editorモード、xSignalsモードが含まれます。PCBパネルの列見出しを右クリックすると、列の表示/非表示を切り替えられます。

  • 配線遅延の計算には、Simberian®のSimbeor SFS(準静的電磁界ソルバー)が使用され、Layer Stack Managerで定義された物理的特性に基づいて計算されます。

  • ユーザー定義のPin Package LengthとPropagation Delayの値は互いに独立しており、前述のとおり、それぞれSignal LengthとDelayの値に加算されます。両者は相互に影響しないため、必要に応じて両方の値を指定できます。

回路図への遅延の組み込み

ピン・パッケージ長は、PinモードのPropertiesパネルで、回路図コンポーネントのピンの属性として定義できます。 デフォルトでは、対象ドキュメントの単位が使用されます。必要に応じて、値とともに単位を入力してください。

ピン・パッケージ長を、必要な単位とともに入力します。 
ピン・パッケージ長を、必要な単位とともに入力します。 

  • コンポーネントのピンプロパティは、ライブラリエディターまたは回路図シート上で、ComponentモードのPropertiesパネルのPinsタブから編集することもできます。 このタブで  をクリックすると、Component Pin Editorが開き、そのコンポーネント内のすべてのピンの全プロパティを編集できます。値はグリッド内で直接編集でき(セルを選択して新しい値を入力)、カーソルキーで隣接するセルに移動できます。単位を入力しなかった場合は、デフォルトの単位が自動的に追加されます。
  • また、 SCHLIB Listパネルを使用して、データシートから複数のPin/Pkg LengthsまたはPropagation Delayの値をコピーし、回路図ライブラリエディターで選択したコンポーネントピンに貼り付けることもできます – 画像を表示。
    • クリップボードの内容を選択したセルに直接貼り付けるだけでなく、パネル内で右クリックしてSmart Grid Pasteダイアログを開くこともできます。これにより、ピンに追加データを取り込む処理をより細かく制御できます。詳細については、Smart Gridツールを使用した属性の編集をご覧ください。

PCBエディターでの遅延の定義

Pin Package LengthとPropagation Delayの値はPCBレイアウトに転送され、 PropertiesパネルのPadモードで確認できます。

Pin Package LengthとPropagation Delayの値は、回路図からPCBに転送されます。また、PCB上で直接定義することもできます。
Pin Package LengthとPropagation Delayの値は、回路図からPCBに転送されます。また、PCB上で直接定義することもできます。

パッドプロパティのPin Package LengthとPropagation Delayの値が、対応する回路図シンボルのピンに設定された値と異なる場合は、次回のPCB更新時に、回路図の値で上書きするためのECOが生成されることに注意してください(プロジェクトオプションで、これらの値の変更検出や、それに対するECOの生成を無効にしている場合を除きます)。

詳細については、 回路図とPCBの同期の維持ページを参照してください。

PCBパネルでのピン・パッケージ長と伝搬遅延の確認

Pin/Pkg Lengthは、Signal Lengthの計算に自動的に含まれます。この計算結果は、PCBパネルのさまざまなモードで表示されます。パネルをNetsモードに設定すると、選択したネット内のピンのPin/Pkg Lengthの値を確認(または編集)できます。Routed Length列には配線の長さが表示され、Signal Length列には配線の長さにそのネット内のすべてのPin/Pkg Lengthを加えた値が表示されることに注意してください。

Pin/Pkg Lengthと、それがSignal Lengthに及ぼす影響は、PCBパネルのNetsモードに表示されます。
Pin/Pkg Lengthと、それがSignal Lengthに及ぼす影響は、PCBパネルのNetsモードに表示されます。

以下の画像では、伝搬Delay列から、2組のxSignalsがMatched Lengthsデザインルールに違反していることがわかります。Delay列が強調表示されているため、このルールは長さの単位ではなく遅延の単位を使用するように設定されていることを示しています。

Delay列は、2組のxSignalsがMatched Lengthsデザインルールに違反していることを示しています。 Delay列は、2組のxSignalsがMatched Lengthsデザインルールに違反していることを示しています。 

Signal Length、 Total Pin/Package Length、Delayは、PCBパネルのさまざまなモードで表示できます。これには、Netsモード、Differential Pairs Editorモード、xSignalsモードが含まれます。PCBパネルの列見出しを右クリックすると、列の表示/非表示を切り替えられます。

xSignalsに長さが含まれる条件

次の条件を満たす場合、Pin/Pkg LengthはxSignal全体の長さに自動的に含まれます。 

  • その信号がxSignal定義の一部である
  • そのパッドがフライバイ配線パターンで接続されていない(そのパッドに接続されているトレースが1本のみである)

フライバイ配線パターン(入口と出口がある)で接続されたパッドは、長さの計算から除外されます。

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