Altium Designer には優れた表面実装部品のファンアウトツールが含まれており、BGA のエスケープ配線にも対応しています。エスケープ配線エンジンは、各パッドをデバイス外形のエッジを少し越えた位置まで引き出すように配線を試みるため、それらへの配線接続がはるかに容易になります。
ファンアウトおよびエスケープ配線は、メインメニューの Route » Fanout サブメニューから起動するか、コンポーネントの右クリックメニューから Component Actions » Fanout Component コマンドを使用して起動します。
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Route » Fanout » All コマンドは、現在の設計内で信号および電源プレーンネットの両方に接続されている、すべての表面実装コンポーネントのパッドをファンアウトするために使用します。この手順は、設計(特に複雑で高密度な設計)が Autorouter に渡されたときに正常に配線できそうかどうかを判断するうえで、特に有用です。
このコマンドの実行は、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out Signal パスと Fan out to Plane パスの両方を実行するのと同等です。
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Route » Fanout » Power Plane Nets コマンドは、現在の設計内で電源プレーンネットに接続されている、すべての表面実装コンポーネントのパッドをファンアウトするために使用します。
このコマンドの実行は、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out to Plane パスを実行するのと同等です。
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Route » Fanout » Signal Nets コマンド は、現在の設計内で信号プレーンネットに接続されている、すべての表面実装コンポーネントのパッドをファンアウトするために使用します。
このコマンドの実行は、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out Signal パスを実行するのと同等です。
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Route » Fanout » Net コマンド は、選択したネットに接続されているすべての SMT コンポーネントパッドをファンアウトするために使用します。
このコマンドの実行は、信号プレーンネットを選択したか電源プレーンネットを選択したかに応じて、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out Signal パスまたは Fan out to Plane パスのいずれかを実行するのと同等です。
ネット上のパッドの位置、またはその接続ラインのいずれかの位置が分からない場合は、空きスペースをクリックすると Net Name ダイアログがポップアップし、ネット名の入力を促します。ネット名が不確かな場合は ? を入力してから OK をクリックし、設計で読み込まれているすべてのネットを一覧表示する Nets Loaded ダイアログを起動します。ダイアログで選択したネットの SMT コンポーネントパッドは、OK をクリックすると(可能な場合)ファンアウトされます。
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Route » Fanout » Connection コマンドは、選択した接続に含まれるすべての SMT コンポーネントパッドをファンアウトするために使用します。
このコマンドの実行は、選択した接続が信号プレーンネットに関連付けられているか電源プレーンネットに関連付けられているかに応じて、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out Signal パスまたは Fan out to Plane パスのいずれかを実行するのと同等です。
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Route » Fanout » Component コマンドは、選択した表面実装コンポーネントのうち、信号および電源プレーンネットの両方に接続されているパッドをファンアウトするために使用します。
このコマンドの実行は、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out Signal パスと Fan out to Plane パスの両方を実行するのと同等です。
コンポーネントの位置が分からない場合は、空きスペースをクリックすると Component Designator ダイアログがポップアップし、コンポーネント名の入力を促します。コンポーネント名が不確かな場合は ? を入力してから OK をクリックし、設計内のすべてのコンポーネントを一覧表示する Components Placed ダイアログを起動します。ダイアログで選択した SMT コンポーネントのパッドは、OK をクリックすると(可能な場合)ファンアウトされます。
コンポーネントにどのネットにも接続されていないパッドが含まれている場合、それらのパッドもファンアウトするかどうかを尋ねるダイアログが表示されます。
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Route » Fanout » Selected Components コマンド は、選択した表面実装コンポーネントのうち、信号および電源プレーンネットの両方に接続されているパッドをファンアウトするために使用します。
このコマンドの実行は、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out Signal パスと Fan out to Plane パスの両方を実行するのと同等です。
コンポーネントにどのネットにも接続されていないパッドが含まれている場合、それらのパッドもファンアウトするかどうかを尋ねるダイアログが表示されます。
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Route » Fanout » Pad コマンド は、信号または電源プレーンネットのいずれかに接続されている、選択した SMT コンポーネントパッドをファンアウトするために使用します。
このコマンドの実行は、パッドが信号プレーンネットに接続されているか電源プレーンネットに接続されているかに応じて、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out Signal パスまたは Fan out to Plane パスのいずれかを実行するのと同等です。
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Route » Fanout » Room コマンド は、選択したルーム内にあるすべての表面実装コンポーネントのうち、信号および電源プレーンネットの両方に接続されているパッドをファンアウトするために使用します。
このコマンドの実行は、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out Signal パスと Fan out to Plane パスの両方を実行するのと同等です。
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デザインスペース内の対象コンポーネント(選択されているかどうかは問いません)の右クリックメニューにある Component Actions » Fanout Component コマンド は、カーソル直下の表面実装コンポーネントのうち、信号および電源プレーンネットの両方に接続されているパッドをファンアウトするために使用します。
このコマンドの実行は、Autorouter 用に定義されたストラテジー内の Fan out Signal パスと Fan out to Plane パスの両方を実行するのと同等です。
コンポーネントにどのネットにも接続されていないパッドが含まれている場合、それらのパッドもファンアウトするかどうかを尋ねるダイアログが表示されます。
ファンアウトの動作
使用される内側のパッドは、まず従来のドッグボーン(先端にビアを置いた短い配線)で別レイヤーへアクセスできるようにファンアウトされ、その後ビアからデバイス外形のエッジを少し越えた位置までエスケープ配線されます。利用可能な配線レイヤーを順に使いながら、すべてのパッドがエスケープ配線されるまで処理が続きます。
ファンアウトおよびエスケープ配線は、Fanout Control rule、Width rule (追加で敷設されるトラック用)、Routing Via Style rule (配置されるファンアウトビア用)、Routing Layers rule、および Clearance rule を含む、適用される設計ルールに従って実行されます。エスケープ配線できなかったすべてのパッドのレポートが生成されて開かれます。レポート内の項目をクリックすると、PCB へクロスプローブしてそのオブジェクトを確認できます。
ファンアウトコマンドを選択すると、Fanout Options ダイアログ が開きます。このダイアログには、ファンアウトおよびエスケープ配線のオプションに加え、ブラインドビア(Via Types タブ(Layer Stack Manager 内)で設定)を使用するためのオプションを指定できるコントロールが含まれています。その他のオプションとして、内側(到達しにくい)列に加えて外側 2 列のパッドもファンアウトする、またはネットが割り当てられているパッドのみを対象にする、といった設定があります。

Fanout Options ダイアログを使用して、ファンアウトおよびエスケープ配線のオプションを制御します。
Options and Controls of the Fanout Options Dialog
ファンアウトのプロパティを選択
- Fanout Pads Without Nets - このオプションを有効にすると、ネットが割り当てられていないパッドであってもコンポーネントからファンアウトします。このオプションが無効の場合、ネットが割り当てられているパッドのみがファンアウトされます。
- Fanout Outer 2 Rows of Pads - このオプションを有効にすると、(通常は容易に配線できる)外側 2 列を含めてコンポーネントのパッドをファンアウトします。
コンポーネントをファンアウトすると、接続を可能にするために必要に応じてビアが配置されます。レイヤーに対してドリルペアが設定されており、かつ Update fanout using Blind Vias オプションが有効な場合はブラインドビアが配置され、そうでない場合はスルーホールビアが使用されます。
- Include escape routes after fanout completion - このオプションを有効にすると、各ファンアウトにエスケープ配線を追加します。エスケープ配線は、ファンアウトビアおよびコンポーネントパッド上にトラックを配置してコンポーネント外周のエッジまで引き出し、それらへの配線接続を容易にします。
BGA エスケープ配線オプション
この領域のオプションは、Include escape routes after fanout completion オプションが有効な場合にのみ使用可能になります。
- Update fanout using Blind Vias (BGA escape routing only) - このオプションを有効にすると、レイヤースタックで設定されたドリルペアレイヤー間にブラインドビアを配置します。このオプションが無効の場合、ドリルペアレイヤー設定に関係なくスルーホールビアのみが配置されます。
ブラインドビアを使用できるドリルレイヤーペアが定義されていない場合、このオプションは Cannot Fanout using Blind Vias (no layer pairs defined) として表示されます。
- Escape differential pair pads first if possible (same layer, same side) - このオプションを有効にすると、割り当てられた差動ペアネットをまとめてファンアウトおよびエスケープ配線し、他のファンアウト処理を行う前に実行します。これにより、配線を実質的に一体のまま維持できます。ファンアウトは、同一レイヤー上に、可能な限り隣接する形でエスケープ配線トラックを配置します。

1mm ピッチ BGA のファンアウトおよびエスケープ配線の例。基板のオートルーティング前にいずれかのファンアウトコマンドを使用した場合、追加の手動配線がある、またはファンアウト配線を何らかの形で変更したのでない限り、プリルートをロックする必要はありません。コンポーネントのパッドをファンアウトするには、どのレイヤーにもこのコンポーネントの下にポリゴンプアが存在しないことを確認してください。ポリゴンは、ファンアウト作成前にシェルブし、作成後に復元できます。